人事部の資料室

求人広告の書き方を変えたら応募者数も離職率も改善した話

作成者: e-falcon|2022/10/10

「なかなか、いい人が採れなくて……」
そんな声を聞くことは、少なくありません。

2020年代は、新型コロナウイルスの影響による採用縮小を経験しつつも、基調は売り手市場と見られています。

本記事では「求人広告の書き方」に着目して、採用成果を上げる戦略を考えていきたいと思います。

求人広告とは?

最初に、そもそも求人広告とは何か、基礎知識から確認しておきましょう。

求人広告の媒体

求人広告は大きく5種類に分けられます。

  特徴
ハローワーク 求人企業も求職者も無料で利用できる
新聞・雑誌の広告欄 広い読者、または特定のターゲットにリーチできる
求人専門誌 知名度が高いために、広範囲の層に訴えやすい
折込みチラシ 地域限定で配布されるため近隣者の採用に強みがある
インターネット 専門の求人サイトに広告を出す手法が主流となっている

それぞれの特徴と自社で獲得したい人材の兼ね合いで、媒体を選んでいきます。現在は、インターネット経由の採用活動も盛んになっています。

求人広告の掲載データ

求人広告には、おもに以下の情報を掲載します。

  • 企業情報データ
  • 採用条件(保有資格や特定業種の経験の有無など)
  • 雇用条件(雇用形態、給与、昇給、昇格、賞与、手当て、勤務時間、休暇、試用期間、福利制度など。また、給与や賞与に幅がある場合は、その背景またはモデル月収などを明記)
  • 採用スケジュールや採用後の研修スケジュールなど

求職者は、企業情報データや各種条件を見て、魅力的だと感じた求人に応募する仕組みです。
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求人広告によって起きる問題点

求人広告は、採用活動の成否を分ける重要な要因です。

求人広告がうまく機能していないと、どんな問題が起きるのでしょうか。

応募者数が少ない

まず、応募者数の母数がとれないので、採用活動が難航します。これは切実な問題です。

ファネル上部の人数が少なければ、ベストマッチな人材に出会える確率も減ってしまいます。

限られた人数の中で行われる選考では、採用自体を見送らなければならないことも、少なくありません。

離職率が高い

応募者数を確保できても、離職率が悪い求人広告は、機能しているといえません。

求人広告は、求職者のエクスペクテーション(期待値)を形成するものです。

広告によって形成された期待と、入社後の実態の差(ギャップ)は、満足度(あるいは不満足度)のファクターとなります。

たとえば、求人広告で過剰な期待をあおった場合、
「入社前に想像していたのと、入社後の実態が違う」
という失望の感情が生まれ、離職率が高くなるのです。

効果が高まった求人広告 7つのポイント

筆者自身、企業での採用活動では、求人広告で多くのつまずきを経験しています。

さまざまなテストを重ねながら試行錯誤を続け、応募者数・離職率を改善していきました。

以下にそのポイントをご紹介したいと思います。

1. 会社紹介を書くときに他社を参考にしない
2. 職種別の要件は現場の担当者が書く
3. 職種名にキーワードを入れる
4. 面接でよく聞かれることを書く
5. 悪いことも誠実に書く
6. チームメンバーに確認してもらう
7. 応募者にフィードバックしてもらう

1. 会社紹介を書くときに他社を参考にしない

1つめのポイントは「会社紹介を書くときに他社を参考にしない」です。

求人広告に限らず、優れた広告のカギは「こちらに振り向いてほしい、適切な人たちの注意を、確実に引く」ことにあります。

その第一歩となるのが、会社を紹介するコピー文です。

効果の出ない求人広告は、他社の求人広告を参考にしながらコピー原案を作っていました。

結果として「他社と代わり映えのしない、ありきたりな広告」になっていたのです。

そこで、あえて求人広告の世界をまったく知らない、商品のマーケティング担当者とコピーライターに会社紹介を書いてもらいました。

会社の魅力を「明らかに他社とは違うユニークさ」で表現することで、注意喚起力が高まったのです。

2. 職種別の要件は現場の担当者が書く

2つめのポイントは「職種別の要件は現場の担当者が書く」です。

それまで、職種別の要件は、採用担当者が取りまとめて文章にしていました。

しかし、募集職種に何が必要なのか、その職種に応募する人たちが何を知りたいのか、知っているのは現場の担当者です。

職種別の要件は、現場の担当者が書くルールに変更しました。

職種によってフォーマットが違って、体裁は整わなくなりましたが、見た目よりも中身重視で気にしないことにしました。

この改善によって、
「現場が来てほしいと思っていた即戦力」
の採用力が高まった実感があります。

3. 職種名にキーワードを入れる

3つめのポイントは「職種名にキーワードを入れる」です。

これはインターネットの求人広告や、自社サイトに掲載する求人ページの、テクニック的なお話になります。

「カタカナでかっこいいけど、何をするのかよくわからない職種名」はやめました。

その代わり、
「求職者は、どんなキーワードで仕事を検索するだろうか?」
と考えて、そのキーワードを職種名に入れることにしました。

たとえば、「Webマーケティング」で転職を考えている人は、「Webマーケティング」のキーワードで検索します。

そこで職種名に「Webマーケティング」を含む、という具合です。

4. 面接でよく聞かれることを書く

4つめのポイントは「面接でよく聞かれることを書く」です。

求職者の立場になって考えたとき、親切な広告であるように目指しました。ここでいう親切とは、「知りたい情報が掲載されていること」といえます。

具体的には、面接でよく聞かれることを、できる限り求人広告に網羅しました。面接でよく出る質問こそ、知りたい情報と考えられるからです。

たとえば「1日の仕事の流れを教えてください」という質問が多い職種では、1日の流れがわかる図解を入れて工夫しました。

5. 悪いことも誠実に書く

5つめのポイントは「悪いことも誠実に書く」です。

広告を“巧く”作るほど、ファネル上部の流入人数は増大するのですが、今度は期待値が上がりすぎるリスクがあります。

前述のとおり、期待値が上がりすぎるとギャップが大きくなり、離職率が高まります。

そこで心掛けていたのは、正直さです。都合が悪く見えることも隠さず、開示を心掛けました。

たとえば、
「今期は競合他社に押されてシェアが下がっているので、巻き返すために新しい戦力を求めている」
「組織改編に伴い、離職率が高まってしまったため、長く一緒に働ける仲間を募集したい」
といった内容を、そのまま書くのです。

結果、真にマッチ度の高い人材との出会いが増えたのが印象的でした。

6. チームメンバーに確認してもらう

6つめのポイントは「チームメンバーに確認してもらう」ことです。

求人広告がうまく機能していなかったときは、経営陣と採用担当者だけで広告内容を確認していました。

ほかの社員は、どんな広告が出稿されているのか、知らなかったのです。

この体制をやめ、求人職種のチームを中心とした複数のメンバーに広告原稿を事前共有し、率直な感想を述べてもらうようにしました。

この効果は絶大だったと感じます。そもそもチームメンバーは、かつての求職者たちです。広告の受け手の気持ちがわかるために、改善点の指摘は的確でした。

7. 応募者にフィードバックしてもらう

7つめのポイントは「応募者にフィードバックしてもらう」ことです。

求人広告経由の応募者には、面接の最後に、広告に関するフィードバックをお願いしました。

「●●の広告をご覧になってご応募いただきましたが、わかりづらい点はありませんでしたか?」
「どんなポイントが印象に残りましたか?」
といった質問を投げかけます。

応募者からのフィードバックをもとに改良を重ねることで、社内の目だけでは気づけない隅々まで、クオリティを上げることができたのです。

さいごに

本記事では「求人広告の書き方」をテーマにお届けしました。

近年では、自社のコーポレートサイトやSNSを中心として採用活動を展開する企業も増えています。そういった採用活動にも、本記事でご紹介したエッセンスは有効です。

ぜひ参考にしていただきながら、有意義な採用活動につなげていただければと思います。