採用活動を進める上で、スキルや経験だけでは優秀な人材かどうかを見極めることはできません。
企業が持つ独自の文化、いわゆるカルチャーフィットしているかどうかが、採用においては重要となります。
もしもカルチャーフィットしない人材を採用してしまった場合、企業にとって深刻な影響をもたらす可能性も高いです。
カルチャーフィットしないとはどう言うことなのか確認し、カルチャーフィットしない人材を見極める方法について説明します。
カルチャーフィットしないとは、入社した人材が企業の文化にあっていないことを指します。
企業の文化とはたとえば、価値観や働き方、従業員間のコミュニケーションなどのことで、業務を円滑に進めるためにも重要な要素です。
そのため、カルチャーフィットしないということは単に性格の不一致ということではなく、企業の考え方や価値観が根本的に合わない状況になっているので、カルチャーフィットしない状態を無視し続けていると、以下のような状況に陥ることもあるでしょう。
チームワーク重視の会社の場合 |
円滑に業務が進まなくなる |
挑戦を重視する会社の場合 |
新しい取り組みに消極的な態度を示すため組織全体の成長が妨げられる |
コミュニケーションが活発な会社の場合 |
円滑な報連相ができず業務効率が下がる |
カルチャーフィットしない状況は、必ずしも個人の能力や人格に問題があるということではありません。単純に、その人の価値観や働き方が、その企業の文化と合わないということです。
同じ人材でも、別の企業では適している可能性もあるので、その人自体が悪いわけではないということを念頭におき、採用活動を進める必要があります。
カルチャーフィットしないかどうかはなぜ重要なのでしょうか。カルチャーフィットしないかどうかを見極める重要性について確認していきましょう。
カルチャーフィットが適していれば、企業理念や企業が持つ価値観、事業への取り組み方に共感できるので、日々の業務を違和感なく進めることができます。
例えば、挑戦を重視している企業にカルチャーフィットしている人が入社すれば、企業の考えに合わせて革新的なアイデアを出しながら業務を進めるため、組織全体の成長にもつながるでしょう。
一方、カルチャーフィットしない従業員は、企業が求めてくる内容と自分の考えの間でギャップを感じるので、業務に対して違和感や抵抗感を抱くことになります。
この違和感は、日々の小さな行動から業務内容まで、あらゆる場面で影響を与えるでしょう。
結果として、業務の質や効率が低下し、従業員自身もストレスを感じることになり、業務を円滑に進めることができなくなってしまいます。
カルチャーフィットしている従業員は、企業の考え方に共感しているので、仕事に対するモチベーションが高いです。自分の仕事が企業に貢献していることを実感できるので、単なる労働ではなく、楽しんで働いてくれるでしょう。
モチベーションの高い従業員は、課題に直面した際も諦めずに取り組みますし、スキルアップの意欲も高いです。
しかし、カルチャーフィットしない従業員は、企業の方向性に疑問を感じたり、業務内容に納得がいかなかったりなど、なかなかやる気が上がらず、モチベーションも低下しがちです。これは個人のパフォーマンス低下だけでなく、周囲の従業員にも悪影響を与える可能性があります。
職場の人間関係は、従業員の定着率に直接的な影響を与えます。
カルチャーフィットしている従業員同士は、共通の価値観や考えを持っているため、自然とコミュニケーションが取りやすく、良好な人間関係を築きやすいでしょう。
従業員間で考え方が同じだと、単なる業務上のやり取りだけではなく、互いに支え合ったり、成長し合う関係に発展したりなど、メリットも多いです。
困った時に相談しやすい環境があるだけで、仕事もしやすいですし、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
一方、カルチャーフィットしない従業員は、価値観の違いから同僚との間に距離を感じやすく、孤立感を抱くことがあります。この孤立感は、仕事へのやる気を低下させ、最終的には離職につながることもあります。
このように、人間関係を良好にたもつためにも、カルチャーフィットは重要です。
厚生労働省が発表している統計「新規学卒就職者の離職状況」によると、入社から3年以内の離職率は全体の約3割です。
この早期離職の主な原因の一つが、企業とのミスマッチといわれています。
つまり、カルチャーフィットしない従業員は、入社してから企業へ適応するのに苦労し、結果として短期間で離職してしまう傾向があるのです。早期離職は、企業にとっても大きな損失です。
採用コストや研修コスト、そして新たな人材を採用し直すコストを考えると、一人の早期離職による損失は大きいでしょう。
また、早期離職が頻繁に発生する職場は、残っている従業員にも不安や不信感を与え、組織全体のモチベーションを低下させる可能性もあります。
しかし、カルチャーフィットを重視した採用を行えば、このような早期離職を大幅に減らすことができるので、企業全体にも良い影響を与えることができるでしょう。
優秀な人材を確保するのは、企業が事業を拡大させていく上でもとても重要です。
そのため、カルチャーフィットを重視した採用を行うことで、単にスキルが高いだけでなく、長期的に企業で活躍できる「適切な」人材を確保することができます。
適切な人材とは、スキルレベルが高いなどではなく、その企業に貢献できる人材だったり、モチベーションを維持して働くことができる人材のことです。
スキルは伸ばしていくことができますが、カルチャーフィットはその人自身を変えなければ合わせることはできません。
スキルが合うかどうかではなく、カルチャーが合うかどうかが重要なので、適切な人材を確保したい場合はカルチャーフィットを重要視することが大切です。
カルチャーフィットしない人材を採用すると、どのような影響があるでしょうか。カルチャーフィットしない人材を採用する影響について確認していきましょう。
カルチャーフィットしない人材が組織に入ると、業務効率が低下します。
カルチャーフィットしている従業員なら、企業にあわせた判断を迅速に行うことができますが、カルチャーフィットしない人材だと、企業が求めている答えや方向性がわからないので、的確な判断ができません。
また、カルチャーフィットしないと、従業員同士のコミュニケーションも非効率になります。
たとえば、同じ考えを持つ従業員同士なら暗黙の了解があったり、同じゴールを見据えたりすることができますが、カルチャーフィットしない人材とだと、細かい説明などが必要となり、無駄な業務が発生することもあるでしょう。
このように、カルチャーフィットしない人がいるだけで、業務効率が著しく下がる可能性が高いです。
カルチャーフィットしない人材の存在は、職場の雰囲気や空気感に悪影響を与える可能性があります。企業文化は、従業員の行動や態度を通じて日々形成されていくものです。
そのため、一人でも適していない人材がいると、職場の雰囲気はわるくなります。
特に、管理職などにカルチャーフィットしない人材が就いた場合、仕事に対するやる気が低下する従業員も増えてしまいます。また、価値観が異なることで対立が生じたり従業員同士の仲が悪くなることもあるでしょう。
結果として、カルチャーフィットしない人が入社するだけで空気が悪くなり、パフォーマンスが下がる傾向になります。
たとえば、先輩がカルチャーフィットしていない場合、新入社員や若手に対して適切な指導ができません。企業が求める行動と異なる指示を出してしまうことで、新しい従業員が間違ったやり方を覚えてしまいます。
また、カルチャーフィットしない人材は、企業が求めているビジョンに対する理解がたりないことが多いため、部下や後輩に対しても具体的な指示を伝えることができません。
これにより、組織全体の方向性が曖昧になったり、従業員のやる気も上がらず成長する機会を失われてしまいます。
新しい挑戦をする気も起きないので人材が育成できず、結果的に組織全体が成長できなくなるでしょう。
カルチャーフィットしない人材を見極めるためにはどうすればいいのでしょうか。カルチャーフィットしないかどうかを見極めるための方法について解説します。
カルチャーフィットしない人材を見極めるためには、すでにカルチャーフィットしている社員をモデルにすることが大切です。
たとえば、すでにカルチャーフィットしている社員は、自分のどこが企業とあっているのか具体的な要因を身をもって知っています。
また、雰囲気や空気感など、言語化することのできない曖昧な部分についても理解が深いので、求職者を見ただけでマッチしているかどうかを判断できるでしょう。
具体的には、複数の部署の社員を投入し、異なる視点からカルチャーフィットしているかどうかを評価することが大切です。
ほかにも、職場見学や従業員との座談会をもうけるだけでも、カルチャーフィットしているかどうかを判断することができるでしょう。
しかし、採用をする場合は「なんとなくあいそう」という感覚的なものだけで判断してはいけません。明確な基準を作成し、その基準をもとにカルチャーフィットしているかどうかを見ていくことが大切です。
そもそも、カルチャーフィットは抽象的で曖昧なものと考えがちですが、採用において効果的に活用するためには、明確に言語化することが大切です。
まず、なにが一番企業に重要なのか言語化し、そのためにはどのような人材が必要なのか列挙していくと良いでしょう。
また、カルチャーフィットしている従業員の行動パターンを分析し、そこから共通する特徴や価値観を見つけることも効果的です。その結果、企業文化をより具体的に把握することができます。
カルチャーフィットが言語化されれば、採用担当者や面接官も判断しやすく、採用活動がスムーズに進みます。
カルチャーフィットは「企業の空気感」という曖昧な概念だと考えている人も多いですが、実はそうではありません。
明確な行動パターンや考えがあるので、それらを言語化し、適合する人材を採用するようにしましょう。
カルチャーフィットしないかどうかを効果的に判断するためには、やはり採用基準を設定することも大切です。
そのためには、スキルや経験に関する基準と、カルチャーフィットに関する基準を明確に分離させましょう。
カルチャーフィットとスキルが両方とも基準を満たしている人は即採用してもいいですが、スキルだけは満たしているがカルチャーフィットは基準を満たしていない人の場合、採用は慎重に考えなければなりません。
このような場合、求職者に合わせた採用活動を行う必要があります。採用基準を定めるということは、採用活動をどのように進めればいいのか、方向性を明確にすることです。
採用基準が明確になれば、採用担当者も悩むことがありませんし、カルチャーフィットする人がどのような人なのか具体的に決めることもできます。
そのため、カルチャーフィットしない人を見極めるためには、採用基準を定めることが大切です。しかし、採用基準を定める際は定期的に見直すことも必要となります。
企業の成長や環境の変化に応じて求める人物像も変化するため、採用基準もそれに合わせて調整する必要があるからです。
人の判断だけだとコストもかかるので、機械的に判断できる適性検査の実施を行うこともおすすめです。
最近では、AIを活用した診断ツールなども多数開発されており、これらを活用することで、面接では見抜けない深層心理や性格の特性を把握することができます。
適性検査では求職者の性格や考え方、仕事に対する向き合い方などを数値化することができるので、カルチャーフィットしないかどうかを見える化することが可能です。
しかし、結局は人間性も大切になっていきます。
適性検査は嘘をついて答えることもできるので、適性検査の結果だけに頼らず、しっかりと会話をした上で判断することも大切になってくるでしょう。
カルチャーフィットは、採用活動をする上でとても重要な要素です。スキルや経験だけでは業務は円滑に進めることができません。
人間性や企業に適している人材かどうかを見極めることも大切になっていきます。カルチャーフィットする人材を見極めるためには、適性検査をおこなうこともおすすめです。
適性検査を導入したい場合は「eF-1G(エフワンジー)」がおすすめです。eF-1Gでは適正結果を詳細に分析でき、企業に適した人材かどうかを可視化することができます。
また、採用だけではなく人材育成のシーンにおいても活用できるので、一度導入すれば多岐にわたって利用できるメリットがあります。
今後の採用活動はスキルだけではなくカルチャーフィットも同時に判断することが大切です。
企業に適した人材を採用するためにも、ぜひ弊社のeF-1Gをご検討ください。