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管理職としての役割とは?求められる管理職としての役割と能力やスキル

作成者: e-falcon|2025/11/17

企業経営において、管理職は経営層と現場をつなぐ重要な役割を担っています。

経営方針を現場に浸透させ、チームの力を最大限に引き出すことで組織全体の成果向上に貢献する管理職の存在は、企業の成長・発展に欠かせません。

しかし、「管理職に任命されたものの、具体的に何をすべきかわからない」「期待される管理職としての役割を果たせているか不安だ」のような悩みを抱える方も多いでしょう。

管理職の定義から具体的な役割、求められるスキル、管理職としての役割をまっとうするためのポイントを詳しく解説します。

管理職としての役割の前にそもそも管理職とは

管理職としての役割を理解するためには、まず「管理職とは何か」の正しい理解が不可欠です。

管理職の定義や他の役職との違いを明確にすることで、その職務の輪郭が見えてくるでしょう。

管理職の定義と法律上の位置付け

管理職とは、一般的に組織内で一定の権限と責任を持ち、部下を指揮監督しながら組織目標の達成を目指す役職のことです。

具体的には、部長、課長、係長などが管理職にあたります。

労働基準法上では「管理監督者」として扱われ、労働時間や休日規定の適用除外となる場合があります。

ただし、この適用には「経営への関与」「労働時間の裁量」「地位にふさわしい待遇」などの条件が必要で、単なる役職名だけでは該当しません。

法的な位置付けを理解しておくことは、管理職の権限や責任範囲を明確にするうえで重要です。

管理職と一般社員・役職者との違い

管理職と一般社員の最も大きな違いは、責任の範囲と権限です。

一般社員は、与えられた業務の遂行に主眼が置かれますが、管理職はチームや部門全体の成果に責任を負います。

また、リーダー、主任など単に役職が付いている役職者と管理職も区別が必要です。

役職者は、特定の業務範囲においてメンバーを率いる役割を担うものの、一般的に、管理職のように部下の人事評価や部門全体の予算管理などは行いません。

このため、管理職と一般社員・役職者では、求められるスキルセットも大きく異なります。

管理職と役員の違い

管理職と役員の違いは、組織での立場と法的な責任の重さです。

取締役や監査役などの役員は会社法に基づく機関であり、株主に対して受託者責任を負います。

役員は経営戦略や全社方針の決定が主な職務であり、通常、現場のマネジメントは行いません。

一方、管理職は現場に最も近い位置で戦略を実行し、成果を数字として返す役割を担います。

企業を航海に例えるなら、役員が「船の進路」を決め、管理職は「エンジンや舵を動かして目的地に進める」存在といえるでしょう。

管理職としての役割:部門運営と目標達成

管理職の定義を理解できたら、具体的な管理職としての役割を見ていきましょう。

管理職の最も基本的な役割は、自部門を適切に運営し、設定された目標を達成することです。

経営計画や事業戦略に基づき、自部門の具体的な目標(KGI/KPIなど)を設定し、達成までの道筋を描きます。

そして、ヒト・モノ・カネなどの経営資源を適切に配分して計画通りに業務が遂行されるよう進捗を管理し、チームをゴールへと導くことが重要な役割です。

管理職としての役割:メンバー育成・評価

組織の成果を最大化するためには、メンバー一人ひとりの成長が不可欠です。

日々の業務を通じたOJTはもちろん、定期的なフィードバック、適切な研修機会の提供などを通じた指導・育成を行う役割も求められます。

また、公平かつ客観的な基準に基づいた人事評価を行い、メンバーの貢献に報いることも重要な職務の1つです。

管理職としての役割:業務改善と生産性向上

現状維持は衰退の始まりです。

管理職は、常に自部門の業務プロセスを見直し、改善していく取組を推進する役割を担います。

非効率な作業や無駄な手順がないかを発見し、ITツールの導入や業務フローの再構築などを通じて、生産性の向上を図ります。

業務改善を継続的に行うことで、コスト削減や品質向上を実現し、企業の競争力強化への貢献が可能です。

管理職としての役割:経営方針の現場への浸透

管理職は、経営陣と現場の社員をつなぐ重要なパイプ役でもあります。

経営層が掲げるビジョンや経営方針、事業戦略などを正しく理解し、それを現場のメンバーに分かりやすく伝え、浸透させることも管理職の重要な役割です。

なぜこの目標を目指すのか、自分たちの仕事が会社全体にどう貢献するのかを具体的に語ることが、メンバーの納得感と当事者意識を高めます。

管理職としての役割:社内外の調整役

多くの場合、部門の目標達成は自部門だけで完結するものではなく、他部署との連携や協力が不可欠です。

管理職は、関連部署とのスムーズな連携を図るための調整役も担います。

また、顧客や取引先などの社外のステークホルダーと良好な関係を築き、窓口として折衝を行うことも、管理職の重要な役割の1つです。

管理職としての役割に求められる能力やスキル

これまで見てきた多岐にわたる役割を遂行するために、管理職には幅広い能力やスキルが求められます。

単にプレイヤーとして優秀であっただけでは、管理職として成功できません。

管理職としての役割に求められる能力やスキルを確認していきましょう。

コミュニケーション・人間関係構築力

管理職の仕事は、人との関わりなしには成り立ちません。

部下や上司、他部署、顧客など、さまざまなステークホルダーと円滑な人間関係を築き、維持する能力は必須です。

具体的には、相手の話を丁寧に聞く「傾聴力」、自分の考えを分かりやすく伝える「伝達力」、対立を解消し合意形成を図る「交渉力」などが含まれます。

日頃からオープンなコミュニケーションを心がけ、信頼関係を構築しておくことが重要です。

目標設定・組織運営力

目標設定・組織運営力は、経営方針を具体的な部門目標に落とし込み、それを達成するための組織を構築、運営していく能力です。

「オーガニゼーションスキル」とも呼ばれ、会社の大きな目標を、チームや個人が取り組むべき具体的な行動に分解します。

そして、メンバーのスキルや経験を考慮して適切な役割分担を行い、計画通りに目標達成へと導くことが重要です。

課題発見・問題解決力

管理職には、自部門が抱える本質的な課題を発見し、その解決策を立案・実行する能力が求められます。

そのためには、日々の業務の中に潜む非効率や、目標達成を阻害する要因を的確に見つけ出す洞察力が必要です。

発見した課題に対しては、ロジカルシンキングを用いて原因を特定し、複数の解決策を比較検討した上で、最も効果的な打ち手を実行に移すことが重要です。

リーダーシップ・意思決定力

組織を目標達成に向けて牽引するには、強いリーダーシップと、迅速かつ適切な意思決定が欠かせません。

ビジョンを示し、メンバーのモチベーションを高め、チームの一体感を醸成する力が必要です。

また、限られた情報と時間の中で決断を下し、その結果に責任を持つ覚悟も求められます。

意思決定においては、リスクとリターンを適切に評価し、組織全体の利益を考慮した判断を行うことが重要です。

動機付け・育成能力

メンバー一人ひとりのやる気を引き出し、能力を最大限に発揮させる動機付け(モチベーション)は、チームの成果を左右する重要なスキルです。

個人の価値観や動機を理解し、それぞれに適した動機付けの方法を見つけることが求められます。

また、長期的な視点でメンバーの成長を支援する育成能力も欠かせません。

一人ひとりの強みを見出し、それを伸ばす機会を提供することが重要です。

管理職としての役割を果たすための心構え

管理職としての役割やスキルを理解した上で、実際にその役割を効果的に果たしていくためには、意識しておくべき重要なポイントがあります。

管理職としての役割を果たすための心構えを確認していきましょう。

プレイヤー気質から脱却する

多くの管理職は、プレイヤーとして高い成果を上げてきた優秀な人材です。

しかし、管理職になった瞬間から、評価の軸は「個人の成果」から「チームの成果」へと変わります。

いつまでもプレイヤー時代の成功体験に固執し、自分で仕事を進めてしまうと、部下の成長機会を奪い、チーム全体のパフォーマンスを低下させることにつながりかねません。

「自分がやった方が早い」という考えを捨て、部下を信じて仕事を任せる勇気を持つことが、管理職としての成功の第一歩です。

伝書鳩ではなく自分の言葉で方針を語る

管理職は、経営と現場をつなぐ重要なパイプ役です。

しかし、単に上からの指示を右から左へ流す「伝書鳩」であってはなりません。

経営陣が決定した方針・目標の背景や意図を深く理解し、それを自分の言葉で、熱意を持ってメンバーに語ることが重要です。

なぜこの方針が必要なのか、この目標の達成がチームや会社、そしてメンバー自身にとってどのような意味を持つのかを伝えることが、メンバーの納得感と主体性を引き出すことにつながります。

事なかれ主義に陥らない

上司と部下の板挟みになる管理職は、波風を立てることを恐れ、「事なかれ主義」に陥りがちです。

しかし、問題の先送りや見て見ぬふりは、後々さらに大きなトラブルを招く原因となります。

管理職の重要な役割は、たとえ一時的な反発があったとしても、組織の成長のために本質的な課題に取り組むことです。

健全な衝突を恐れず、言うべきことをしっかり伝えて必要な改善を断行する勇気が、チームからの信頼と長期的な成果につながります。

管理職としての役割遂行のサポートに適性検査「eF-1G」

管理職は、部門運営からメンバー育成、業務改善、経営方針の浸透、社内外の調整役まで、多岐にわたる重要な役割を担っています。

管理職としての役割を果たすためには、コミュニケーション能力や問題解決力、リーダーシップなど幅広い能力・スキルが求められ、プレイヤーからマネージャーへの意識改革も不可欠です。

特に、管理職の重要な役割である「メンバーの育成」や「動機付け」を効果的に行うには、部下一人ひとりの性格や価値観、強みを深く理解することが求められます。

しかし、多忙な業務の中で、すべてのメンバーの特性を主観だけで正確に把握するのは容易ではありません。

そこで、管理職のマネジメント業務を強力にサポートするのが、適性検査「eF-1G(エフワンジー)」です。

eF-1Gは、管理職が部下一人ひとりの特性を客観的なデータとして把握するために役立つツールです。

例えば、「どのようなコミュニケーションを好むのか」「何にモチベーションを感じるのか」「どのような仕事で力を発揮しやすいのか」といった個性を可視化できます。

これにより、一人ひとりに合わせた指導や声かけ、最適な業務の割り当て、キャリア支援を行うことが可能です。

適性検査を使った組織の活性化に興味をお持ちなら、ぜひeF-1Gの導入をご検討ください。