「最近、どうもチームに一体感がない」 「優秀なプレイヤーだったはずの彼が、マネージャーになった途端に苦戦している」 「若手社員の離職が、なかなか改善しない…」
企業の成長を牽引する経営者や人事責任者の皆様であれば、一度はこのような悩みに直面したことがあるのではないでしょうか。これらの問題の根底には、多くの場合「従業員エンゲージメントの低下」という共通の課題が潜んでいます。
世界的な調査でも、従業員エンゲージメントは危険な水準まで低下しており、これが企業の生産性に大きな損失を与えていることが報告されています。そして、そのエンゲージメントを左右する最大の要因、実に70%は、直属の上司、すなわちマネージャーによって決まると言われています。(米国の調査会社Gallup社のレポート「State of the American Manager」より)
多くの企業が、エンゲージメントサーベイを導入し、組織の状態を数値で把握しようと試みています。しかし、「エンゲージメントスコアが低い」という「結果」は分かっても、その根本にある「原因」まで踏み込めているでしょうか。
結局のところ、マネージャー一人ひとりの「勘」や「経験」に頼った、属人的なマネジメントから脱却できず、有効な打ち手を見出せないまま時間だけが過ぎていく…そんな悪循環に陥っていませんか?
本記事では、これまでブラックボックス化されがちだったマネジメントを科学的に捉え直し、データに基づいたアプローチで従業員エンゲージメントを向上させるための具体的な手法について、コンサルタントの視点から解説します。
マネジメントが難しい最大の理由は、その「最後の1マイル」が、マネージャー個人のスキルや経験に委ねられてしまっているからです。 価値観や働き方が多様化し、ハラスメントへの配慮も求められる現代において、画一的なマネジメントが通用しないことは、誰もが理解しています。
しかし、組織として「メンバー一人ひとりに向き合うことが重要だ」という方針を示しても、現場のマネージャーには具体的な武器が与えられていません。
これらの問いに対する答えを、全てマネージャー個人の「人間力」や「経験則」に求めてしまう。これが、多くの組織が抱える構造的な問題です。
エンゲージメントを心理学的に見ると、「個人」と「状況」の産物であるとされています。 つまり、エンゲージメントという「結果」を変えるためには、その原因である「個人の特性」と、その個人を取り巻く「状況(職場環境や上司との関係性)」の両方に注目し、介入方法を考える必要があります。 サーベイの結果だけを見て対症療法的な施策に走るのではなく、その裏にある「原因」にこそ、目を向けるべきなのです。
利き手ではない方の手で、自分の名前を書いてみてください。おそらく、非常に書きづらく、時間もかかり、綺麗な字にはならないでしょう。
マネジメントスタイルもこれと全く同じです。誰にでも、自然とできる「得意なスタイル(利き手)」と、意識しないとできない「苦手なスタイル(利き手ではない方)」があります。
例えば、
どちらが優れているという話ではありません。重要なのは、マネージャー自身が自分の「利き手」を客観的に認識しているかどうかです。自分の得意なスタイルばかりでマネジメントを行っていると、自分とは異なるタイプの部下をうまく導けなかったり、状況によっては逆効果になったりすることがあります。
まずは、自分自身の仕事のスタイルやリーダーシップの傾向を客観的なデータで把握し、「自分はこういう癖があるんだな」と認識すること。これが、多様なメンバーを率いるための第一歩です。
「自分と似たタイプの部下は扱いやすいが、違うタイプはどうも苦手だ」と感じたことはありませんか?これは「類友の罠」と呼ばれる典型的なマネジメントの落とし穴です。
しかし、組織がイノベーションを起こし、持続的に成長するためには、多様性こそが不可欠です。 全員が同じタイプである必要はなく、むしろ異なる個性が補完し合うことで、チームはより強くなります。
科学的なアプローチとは、部下一人ひとりのパーソナリティを客観的なデータで理解し、画一的ではない、個別最適な関わり方を設計することです。
例えば、適性検査eF-1Gでは、個人の特性をデータで詳細に可視化できます。
マネージャー一人ひとりが自己とメンバーを理解する(=点のマネジメント)と同時に、人事や経営層は、組織全体を俯瞰して見る(=面のマネジメント)必要があります。
これらの問いに、データに基づいて答えることができますか?
例えば、適性検査のデータを組織全体で集計・分析すれば、リーダーシップスタイルの分布や、特定の部署におけるパーソナリティの偏りなどをグラフやマップで可視化することができます。
このような組織の全体像をデータで把握することで、経営や人事部門は、より戦略的な意思決定が可能になります。例えば、「全社的にビジョンを牽引するリーダーが不足しているため、次世代リーダー研修を強化しよう」「A事業部は慎重な人材が多いので、変革を推進するために意図的に挑戦意欲の高い人材を配置しよう」といった、個人の感覚ではなく、客観的な事実に基づいた組織開発に着手できるのです。
ここまで、「自己理解」「メンバー理解」「組織理解」という3つのフレームワークの重要性について解説してきました。「勘や経験に頼るマネジメントから脱却する必要性は理解できたが、具体的にどうやって自社に導入すればいいのか?」と感じられた方も多いのではないでしょうか。
その具体的な手法や、明日から使えるヒントを、さらに詳しく解説した資料を参考にしてください。
この「3つの理解」を、組織全体で、かつ継続的に深めていくために開発されたのが、私たちの提供する適性検査「eF-1G(エフワンジー)」です。
eF-1Gは、単なる採用時のスクリーニングツールではありません。個人のポテンシャルを多角的に可視化し、採用から育成、配置、エンゲージメント向上まで、一気通貫で人材データを活用するための戦略的人事プラットフォームです。
「言うは易し、行うは難し」と思われるかもしれません。しかし、このアプローチは実際に成果に繋がります。私たちイー・ファルコン自身が、この「3つの理解」を深めるアプローチを徹底的に実践し、組織変革を実現しました。
かつて組織の成長に伴う課題を抱えていた私たちは、第三者機関(株式会社リンクアンドモチベーション)のエンゲージメントサーベイにおいて、スコアが「BBB」評価に留まっていました。
そこで、eF-1Gのデータを活用し、自社の組織とメンバーを徹底的に分析。 そこから見えてきた課題に対し、
といった施策を実行しました。その結果、わずか1年でエンゲージメントスコアは最高ランクの「AAA」評価へと飛躍的に向上したのです。 これは、科学的アプローチに基づいたマネジメント変革が、組織を劇的に変える力を持つことの何よりの証明です。
本記事では、多くの企業が直面する従業員エンゲージメントの課題に対し、「勘と経験」に頼る属人的なマネジメントから脱却し、科学的アプローチへ移行することの重要性を解説しました。
その核となるのは、
という「3つの理解」です。
これらの理解を深め、データに基づいた対話とアクションを繰り返すことで、マネージャーは自信を持ってチームを率いることができ、従業員は自身のポテンシャルを最大限に発揮できる。その結果として、組織全体のエンゲージメントは向上し、持続的な成長の基盤が築かれます。
もし、あなたが今、チームや組織の停滞感に悩んでいるのであれば、その原因はメンバーの能力や意欲ではなく、マネジメントのアプローチそのものにあるのかもしれません。一歩踏み出し、自社のマネジメントをアップデートすることから始めてみませんか。