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【セミナーレポート】目指せ社員のストレスフリー!心理的特性分析からのストレス軽減策

作成者: e-falcon|2023/08/13

一般的に多くの企業では、年1回のストレスチェックの結果や、無気力など目に見える不調があらわれて初めて対処療法的な対応に乗り出しますが、ストレスマネジメントは発症前の事前対処こそ重要となります。ただストレスは個々人のストレス耐性の強弱や、仕事への取り組み方の違いなど、目に見えない複合的な要因の産物であり事前予防はとても困難です。

株式会社イー・ファルコン(以下、eF社)では、パーソナリティーデータを用いた心理的特性分析のアプローチで、個々人のストレス耐性の強弱や特徴を分類・可視化することに努めています。本セミナーではストレスの事前予防を可能にする、科学的論拠とピープルアナリティクスによる実証研究結果をベースにした「ストレスを軽減するための方法案」をご紹介します。

【講師紹介プロフィール】
増尾 明彦:eF社/サービス開発部マネージャー。上智大学大学院文学研究科教育学専攻心理学コース博士後期課程単位取得、満期退学。同大学心理学科助手を皮切りに、複数の大学で非常勤講師として心理学、統計学を、また介護ヘルパー養成機関において精神保健、人間関係論を指導。2006年にeF社入社後、心理学的視点から適性検査「eF-1G」の開発をはじめ、ストレスチェックの活用支援、ヒューマンエラーの原因分析と対応施策策定、研修の効果測定・評価など、組織課題解決に向けたさまざまなプロジェクトを担当 。

※一部、表現を変更している場合がございます。あらかじめご了承下さい。

はじめに

本日は「目指せ社員のストレスフリー!心理的特性分析からのストレス軽減策」というテーマでお話をさせていただきます。講師を務めますeF社・増尾明彦です。よろしくお願いいたします。

一般的なストレス対策の概況

最初に職場における一般的なストレス対策の概況を確認しましょう。

厚生労働省が毎年実施している「労働安全衛生調査」などの資料では、ストレスを感じている労働者がどれぐらいいるか、また仕事や職業、私生活に関する不安、悩みなどを抱える労働者の割合などが公表されています。平成27年から令和3年までの期間では、ストレスを感じている労働者の割合はおよそ5~6割を行き来しています。ほぼ半数を超える方々がストレス状況にあると言えるでしょう。

ストレスの内容としては仕事の量に関するものが最も多く、続いて仕事の失敗、責任、仕事の質、対人関係などが大きな要因となっています。

そもそもストレスとは何でしょうか。厚生労働省は「人間が外部から刺激を受けた際に内部で生じる反応」をすなわちストレスと定義しています。正確には原因となる刺激は「ストレッサー」と呼ばれ、それに対し人間がどのような反応をするかを「ストレス反応」と呼びますが、我々は一般的にそれらを総称してストレスと言います。外部から与えられた刺激に対する心身の反応や歪みを、総じてストレスと表現する場合もあります。

なおストレスの原因となるストレッサーを大きく整理すると、まず「物理的ストレッサー」があります。「寒さ」「暑さ」など環境的なものも含めこれに該当します。次に「化学的ストレッサー」です。ここには「公害物質」や「酸素欠乏・過剰」などが含まれます。私たちがストレスという言葉から主に連想するのは、次の「心理・社会的ストレッサー」でしょう。ここには人間関係、仕事上の問題、家庭の問題など、生活している社会のなかで生じるストレッサーが含まれます。

職場では前述したように与えられる仕事の量、責任、仕事の内容や質、仕事上の人間関係などがストレッサーとなっています。それ以外にも、家庭に戻った際の家族関係や子育て、介護、また友人関係などプライベートな問題もストレスとなってきます。

もうひとつ考慮すべきは「個人的な要因」で、本セミナーで主にフォーカスしていきたいと考えています。各人のパーソナリティや価値観、考え方によって、同じストレッサーであってもストレスの負荷が異なります。個人的な要因とさまざまな要因が複雑に絡み合うことで、職場におけるストレスの原因が発生します。

次に事業所側でどのような対策がなされているか概況を見ていきます。平成27年から令和3年までの間にメンタルヘルスケアに取り組んだ事業所の割合は6割前後を上下しています。また取り組んでいる事業所の規模が50人以上になるとほぼ9割を超えています。

ただ統計を見る際の注意点があります。厚生労働省の調査に対する回答の具体的な内容においては、平成27年から義務化されたストレスチェックをメンタルヘルスケア施策として実施していると答えた事業所が割合として最も多くなっています。次に問い合わせ窓口を設置していると回答した事業所が、およそ5割を超えています。しかしメンタルヘルスケアの対策案をきちんと設定している、もしくは外部と連携して具体的な施策を実施している事業所となると2~3割まで減少します。

総合すると多くの事業所では施策を講じているものの、効果的な手法や具体性に欠ける、もしくは効果が明確でなく悩んでいるケースが多く、結果として約6割の従業員がストレスを抱えた状態のままだと言えるでしょう。

なおストレスに対処する行動として「ストレスコーピング」という考え方があります。ストレッサーに対してうまく対処・処理する方法論ですが、これにもさまざまなものがあります。例えば、降りかかってきたストレスそのものを自分自身、もしくは周囲の協力を得てなくす方法、もしくはストレス自体はなくすことができないので、別の観点から緩和させるなどの方法です。

ただしストレッサーが正確に分からないと、効果的なストレスコーピングを講じることができません。また現状のストレスコーピングは、ストレスが起きた後の対応が大半です。ストレスは事前予防が重要ですが、既存の方法論ではなかなか容易ではないという実情があります。

心理的特性分析の概要と結果

ここから弊社で行った分析の結果を報告いたします。我々が実施した分析は、弊社・適性検査「eF-1G」を受検した社会人データをベースにしています。受検自体は直近約2年間のものを用いており、対象データは約1万2000件です。

分析対象項目は後ほど詳しく説明しますが、各種データをクラスター分析(データを似たもの同士でまとめていく手法)という統計手法を用いて分析しました。

「eF-1G」は個々人のパーソナリティを業界トップクラスの粒度で捉えることができます。単に数が多いだけではなく、多様な項目に階層性を持たせ、体系的に捉えることができるようになっているのが特徴です。そのなかの「ストレス耐性項目」からは、ビジネスシーンでよく想定されるストレス要因に対する耐性を測ることもできます。

eF-1Gの5つストレス耐性項目の得点を集約したところ、全部で15グループが抽出されました。それをストレス耐性項目以外の82項目も含めて解釈したところ、「ストレス耐性が比較的高いグループ」、「中程度のグループ」「あまり高くない低めのグループ」の3つに分けることができました。

さらにここに「認知・思考スタイル」という視点を加え分析しました。認知・思考スタイルは各人がどのような物事の考え方、捉え方をするか、言い換えれば「仕事の姿勢」を表わすものです。

縦軸は上方向が「自力で探索」、下方向が「素直に満遍なく」という物事の考え方を表わしています。横軸は、自分の興味・関心で物事を捉えるスタイルが右側となり、逆に全体を体系立てて客観的に整理するスタイルが左側となります。縦軸と横軸それぞれABCDの象限に分類し、いずれでもない中庸のクセのないスタイルをEとし合計5つのスタイルで区分します。

この認知・思考スタイルとストレス耐性とを掛け合わせると、ストレスに対する一定の傾向性を見出すことができました。

まず自力で物事を考えることを好むタイプは、曖昧性・不確実性、規律・管理に対するストレスが苦手です。周囲からコントロールされることはもちろん、自分で決めることができない曖昧な状態がストレスになるということです。

次に興味関心で物事を捉えることが得意なタイプは、人間関係や責任が重くなることが苦手です。言い換えれば、自身が面白いと思ったことに連続性なく対応していくので、物事を積み上げて責任を取ることや、人間関係の構築が得意ではないという一定の傾向性が確認できます。

そのように認知・思考スタイルによって苦手なストレスが異なるという前提で、もう一度それぞれのスタイルごとにストレス耐性と掛け合わせて分析を加えたところ、得意/苦手を含む4つずつのクラスターに分けることができ、5タイプ合計では20パターンに分類することができました。

分析から得られたパターン別のストレス原因と軽減策

ここからストレスパターンの具体例として、「アーティストタイプ」を詳細に見ていきたいと思います。

まずアーティストタイプのなかでも、「ストレス耐性が比較的高いグループ」(以下、A-4)を取り上げます。このタイプは、自信があり思ったことをためらいなく実現しようとします。周囲との軋轢があっても厭わず、多少ギスギスしても進んでいくスタイルです。

ではA-4のストレス耐性はどうでしょう。もともとAスタイルは全般的に自力で探索する側で、曖昧・不確実なこと、規律・管理を苦手としています。それ以外にも責任が重くなること、人間関係が苦手であるということが全体傾向として確認できています。

しかしながらA-4に限ると、責任が重くなることに対するストレスはあまり苦にしない傾向もあります。より具体的には、細かい指示や物事に白黒つけない状況にはストレスを感じるが、仕事の量や難易度、結果に対する責任は苦にならないという傾向があります。

次にA-4がストレスフリーな状態で働ける環境についても分析しました。

まずA-4タイプには推進力があるため、進もうとしている方向性に問題がないかだけをコントロールした上で、多少高いハードルであってもできるだけ本人に任せて進ませることが重要です。つまり、マイクロマネジメントではなく、ポイント毎に明確に判断し方向性を示していくことがA-4にとっても動きやすい環境となります。

次に同じアーティストタイプでも、ストレス耐性があまり高くないタイプ(A-3)をピックアップしました。

A-3は強い信念を持っていますが、自分の力で切り拓いていくことが苦手です。また周囲と協調することも得意ではない人物像が見て取れます。ストレス耐性としては、A-4が規律・管理に対するストレスが苦手ですが、A-3は指示・管理されること、ルールに従うことはあまり苦にならず、人と関わることや仕事の負荷・責任が伴うことにストレスを感じやすい傾向が確認できました。

自分が進みたい方向や思いはあるが実現する力が弱いA-3がストレスフリーでいられる環境は、具体化に向けてのプロセスを整理しつつ、実行に移すサポートをしてもらえる環境です。その際、本人があれこれ自分で決めなければいけない状況に置くよりも、あらかじめ方向性やフレームを用意しておくこともポイントとなるでしょう。

同じアーティストタイプでも、ストレス耐性に強いタイプ/弱いタイプで、それぞれ特徴や方向性が違うことがお分かりいただけたと思います。本日は時間の制限があるため典型的な事例を紹介しましたが、弊社では20パターンそれぞれについて、同様の分析を行うことが可能です。「eF-1G」の結果を利用いただくことで、各人に寄り添ったストレス軽減策が検討可能になるでしょう 。

まとめ

仕事に関する悩みやストレスを感じている労働者の割合は、毎年5~6割と半数以上。大きな事業所においては9割近くが対策しているにもかかわらず、ストレスフリーな職場はなかなか実現できていません。理由はストレスの原因はさまざまであり、一律の予防策では防ぎきれないからです。

本セミナーでは、弊社・適性検査「eF-1G」の結果を確認することで、各人にとってどのようなストレス要因が大きく影響するのか、事前に把握・可視化できることをお伝えしました。

ストレス症状が表面化した後の対症療法ではなく、実効性の高い事前予防を行う為のステップとして、まず社員や採用時に適性検査を受検いただき性格特性データを取得し、その結果からストレス原因を確認・特定し、最終的に原因への対策を各人、あるいは組織状態に合わせて実行することをご提案させていただきます。

ストレスフリーな職場を目指して、データ取得による対策をぜひお試しください。