【セミナーレポート】内定承諾率100%!「入社したい!」と思わせる採用面接術
イベント概要
登壇者

株式会社イー・ファルコン 代表取締役
株式会社i-plug 取締役
イー・ファルコン代表の田中伸明です。本日はお忙しい中、セミナーにご参加いただき誠にありがとうございます。採用市場の厳しさを肌で感じている皆様にとって、少しでもヒントとなる情報をお届けできれば幸いです。
まず、弊社についてご紹介します。イー・ファルコンは今年で創業25周年を迎える適性検査の専門企業です。長年のノウハウを結集した主力サービスeF-1G(エフワンジー)は、単なる採用スクリーニングに留まらず、「一人ひとりのキャリアを輝かせる」という思いを込めて開発されました。
2023年10月に新体制となり、事業環境の変化に対応するための戦略転換を図りました。採用競争の過熱、働き方・価値観の多様化、人的資本経営への注目といった変化は、企業が「人」と深く向き合うことの重要性を増しています。特にeF-1Gのような、人を多角的に理解するためのパーソナリティデータへの注目は高まっていくと考えています。
新しい企業理念では、「ポテンシャルディスカバリーを新しいスタンダードにしよう」というBHAG(意欲が高まる大胆な目標)を掲げ、適性検査を個人と企業の可能性を引き出す力として活用することを目指しています。
前年から一転、内定承諾率100%達成までの道のり
一方で、実は2023年の採用活動では大変苦戦しました。具体的には、以下の3つの課題に直面していたのです。
- 候補者不足
- 選考辞退率の高さ
- 競合他社(特にHRTech成長企業やコンサルティングファーム)との競争激化
求人倍率が高い中で、中小企業である私たちにとって、優秀な人材の採用は文字通り「強者」との戦いでした。内定を出しても、より成長性の高い企業や名の知れたコンサルティングファームに流れてしまう状況が続いていました。
この状況を打開するために、2024年に向けた採用活動を徹底的に見直しました。私たちが考えた「勝ち筋」は、自社の強みを最大限に活かし、競合との差別化を図ることでした。戦略の柱は以下の3つです。
- 自社らしさの追求: 企業のビジョンである「ポテンシャルディスカバリー」や、ビジョン実現に向けて共に働く「人的資本(社員)」の魅力を前面に打ち出し、候補者の共感を得る。
- 候補者体験の重視: カジュアル面談から経営トップである私が担当するなど、候補者一人ひとりに寄り添い、適性検査結果のフィードバックや詳細な会社説明を通じて、理解と納得感を高める。
- データ活用による差別化: 適性検査eF-1Gのデータを戦略的に活用し、候補者の特性と自社の求める人物像とのマッチング精度を高め、選考の質を向上させる。
自社らしい「候補者体験の差別化」こそが、厳しい市場で勝つための鍵だと確信しました。
「入社したい」を引き出す面接で重視した3つのポイント
この戦略を実行する上で、特に力を入れたのが面接です。候補者に「この会社に入社したい」と強く感じてもらうために、面接で重要視したポイントは以下の3つです。
1.候補者を「しっかり知る」
面接官は誰しも、無意識のうちにバイアスや思い込みを持ってしまいます。客観的な視点を持ち、候補者を正しく理解するためには、適性検査のようなツールが非常に有効です。
私たちはeF-1Gの結果を、単なる評価のためだけではなく、候補者との対話を深めるためのツールとして活用しました。候補者のパーソナリティデータを見ることで、その方の特性を多角的に把握できます。
さらに、自社の社員の特性データと比較することで、候補者と社風や既存社員との共通点・相違点なども確認できます。
- eF-1Gの結果を起点にした質問例: 結果に示された特性について、「大学時代に自分と向き合った経験はありますか?」「チームで、あるいは周囲と協力して何かをやり切った経験があれば教えてください」「大学時代を通じてどのような人との繋がりを得ましたか?」といった具体的な質問を投げかけます。
これにより、候補者は自己と向き合いやすくなり、より深い自己開示につながります。候補者からも「自己理解が深まる良い機会になった」という声を多くいただきました。
2.候補者の「可能性を見出す」
評価基準を明確にし、面接官同士の認識を統一することで、候補者が持つポテンシャルを正しく評価することが重要です。適性検査の結果と照らし合わせることで、評価の妥当性を高めることができます。
- 活躍人材の要件定義への活用: eF-1Gの項目定義や行動例を参考に、自社で活躍できる人材の要件を具体的に定めることで、求める人物像の解像度を高めました。
- 面接官の評価の統一: 「積極性」といった評価項目について、抽象的なイメージではなく、具体的な行動例に基づいた定義を共有することで、面接官による評価のブレを防ぎ、誰が担当しても同じ基準で評価できるようになります。
3.候補者を「惹きつける」
現代の採用においては、企業が一方的に候補者を選ぶのではなく、候補者から「選ばれる」ことが非常に重要です。面接の場は、企業と候補者がお互いを理解し合う「相互理解の場」であるべきだと考え、候補者と対等に、双方向のコミュニケーションを意識しています。
- 仕事の動機に合わせた個別のアプローチ: eF-1Gで候補者の仕事に対する動機(やりがい、報酬、人間関係など)を把握し、その方に合わせた情報の伝え方を工夫しました。例えば、「報酬や出世」を重視する傾向がある方には、当社の等級制度や評価制度について具体的に説明します。「やりがいや能力発揮」を重視する方には、会社のビジョンや仕事の面白さ、個人の成長機会やスキルアップ支援などについて丁寧に伝えます。
- 特に、まだ自身のキャリア観が固まっていない候補者に対しては、適性検査の結果で示された特性や強み、興味領域を参考にしながら、「なぜ当社に興味を持ったのか」「あなたの強みや興味は、当社のどのような仕事や文化と重なるのか」といった点を一緒に考え、言語化するサポートも行いました。候補者が自ら「ここが自分に合うかもしれない」と感じるプロセスを支援することが、エンゲージメント向上に繋がります。
- 面接官へのサポート: 面接官がこれらの点をスムーズに実行できるよう、eF-1Gの結果レポートから候補者のタイプや仕事の動機、対話のポイント、アピール方法などをまとめた「面接官シート」を提供しています。これにより、面接官の負担を軽減しつつ、質の高い面接を実現しています。
成果と今後のさらなる挑戦
これらの戦略と面接術の実践の結果、2024年度の採用活動では、内定承諾率100%を達成し、採用計画も前倒しでクリアすることができました。
なぜ、このような成果を出すことができたのか。要因を分析した結果、特に以下の3点が大きかったと考えています。
- 適性検査データの戦略的な活用: 候補者への丁寧なフィードバックや、データに基づいた候補者と社員の特性比較、そして面接官の評価の質の向上などが、候補者からの信頼獲得とエンゲージメント向上、そして客観的な判断によるミスマッチ防止に大きく貢献しました。
- 採用エージェントとの深い連携: 当社のビジョンや戦略、課題までオープンに共有し、緊密なパートナーシップを築けたことで、質の高い候補者のご紹介や、採用プロセスの改善に繋がるフィードバックを得られました。
- 全社員による企業理念の体現: 全社員で企業理念を考え直し、自分ごと化する取り組みを進めた結果、面接の場で社員一人ひとりが自分の言葉で会社の魅力や働く意義を熱く語れるようになり、候補者からは「社員の皆さんが同じ方向を向いているのが強く伝わってきた」という高い評価をいただきました。
これが、企業規模や条件だけではない、当社の「らしさ」を伝える強力なアトラクト要因となりました。
内定承諾率100%という成果は得られましたが、これは通過点です。今後、これらの成功をさらに発展させ、乗り越えたい課題も明確になっています。
- 採用手法の再現性向上: 現在はトップである私が多くの面談を担当していますが、採用ニーズの増加に対応するため、面接官全体のスキル向上や、ブレのない評価・アトラクト基準の標準化をさらに進め、誰でも質の高い面接ができる体制を構築します。
- 多様な活躍タイプの採用強化: 組織には様々なタイプの優秀な人材が必要です。eF-1Gのデータ分析を通じて、多様なポテンシャルを見出し、最適な役割に配置できる「ポテンシャルディスカバリー」な採用をさらに深化させたいと考えています。
- 特定職種における競争力強化: データサイエンティストの採用は成功しましたが、エンジニアなど特に競争が激しい職種についても、同様の再現性を持って採用できるよう、戦略を磨いていきます。
これらの実現のため、選考プロセスごとのデータ分析(通過者・非通過者の特徴、承諾者・辞退者の特徴など)を継続的に行い、採用戦略や施策の改善に活かしていきます。また、採用活動で得られた知見は、入社後の人材育成や組織開発にも活用していくことで、採用から定着・活躍までの流れを強化したいと考えています。
本日は、私たちの取り組みについてお話しさせていただきました。皆様の採用活動のヒントとして、少しでもお役に立てれば幸いです。本日は誠にありがとうございました。
本記事はセミナーの一部を紹介したものです。より詳細な内容は、以下のアーカイブ動画でご覧いただけます。
公式X:@efalcon_news