【セミナーレポート】Z 世代の特徴を押さえた内定者・早期接触者フォロー実践

イベント概要

2022年10月6日に開催されたオンラインセミナー「Z世代の特徴を押さえた内定者・早期接触者フォロー実践」では、Z世代について外部調査の結果や当社の適性検査データの分析結果を用いて、その特徴への理解を深め、23年卒の内定者フォローや24年卒の早期接触者フォローにおいてどのように取り組むと良いのか、その要諦と具体的な事例やソリューションについてご紹介しました。本記事ではその内容の一部をレポートします。

イベント当日のアーカイブ動画の準備もございますので、下記よりぜひご視聴ください。
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登壇者

田中 伸明
株式会社イー・ファルコン 代表取締役

    少子化の影響や働き方に対する価値観が見直され始めている昨今、企業の新卒採用についても変化が起こっています。例えば“新しい優先意識を持った世代”とされるZ世代の学生が就職活動を始め、採用される中で、彼らに対して「世代間ギャップを感じる」と考える人たちが増えてきているようです。また内定に至っても「内定辞退」をするケースも、多くの企業が課題としてあげています。

    本セミナーでは、20 年以上に渡って人財の分野で適性検査を開発し、ヒト・組織の課題解決に取り組んできたイー・ファルコン社代表取締役の田中伸明 が、同社のソリューションをもとにした「Z 世代の企業観」分析や「内定辞退防止の取り組み事例」についてお話します。

    ※一部、表現を変更している場合がございます。あらかじめご了承下さい。

    冒頭挨拶


    本日のテーマは「Z世代の特徴を押さえた内定者早期接触者フォロー実戦」です。講師を務めます株式会社イー・ファルコン(eF社)の代表取締役の田中と申します。

    eF社では 20 年以上に渡って適性検査の開発・提供・分析でヒト・組織の課題解決に取り組んできました。「1 人ひとりを自分の輝ける職場に導く」というミッションを掲げ、企業のピープルアナリティクスを支援し、企業と個人(従業員)の成長や発展、ビジネスの成功につなげたいという考えで経営に取り組んでおります。

    本日は2つのアジェンダをご用意いたしております。
    1 つめは 「Z 世代の企業観」について、24 年卒の学生を対象にした当社の独自調査の結果を踏まえて解説させていただきます。
    2 つめは「内定辞退防止の取り組み事例」及び「当社のソリューション」についてご紹介します。

    早期接触者フォローとしてもお役立ていただける内容となっておりますので是非、最後までご覧いただければなと思います。

    1.Z 世代の企業観を知る


    それでは「Z 世代の企業観」について見ていきたいと思います。

    これから就活に臨む23 年卒・ 24 年卒はいわゆる Z 世代に該当します。一般的には、1990 年代半ばから 2000 年代序盤以降に生まれた世代のことをこう呼びます。

    Job総研が20 歳から 59 歳を対象に行った「2022 年 世代間ギャップ調査」という調査の結果を見ると、Z 世代に対して「仕事上で世代間ギャップを感じるか」を確認したところ、全体的に「すごく感じる」が 22.3%、「やや感じる」が 51.4%で合算すると 73.7%の方が「世代間ギャップを感じる」と回答しています。
    また、「どのような時にギャップを感じるか」については、全体の95.9%が「仕事に関する考え方」で最多の回答となっています。
    客観的に見ても、この世代間ギャップが大きな数字になっています。このギャップは当社でも見過ごせない事象と 考え、新卒のプロファイル理解と情報発信に努めさせていただいております。

    今回は現大学 3 年生(24 年卒)に対する総合調査の中から、企業選択観に関する分析結果の一部をご紹介させていただきます。

    この世代間ギャップにどう対応すべきでしょうか。
    私たちeF社はまず、新卒の企業観を 2 つの側面から体系的に分析いたしました。
    ひとつは企業選定基準の側面、もうひとは企業選択における意思決定態度の側面です。この 2 軸から選択側に対する構造を分析していきました。

    ここでは、24 年卒の現大学 3 年生の企業選定基準・意思決定態度の構造を、ピープルアナリティクスの視点から明らかにしていくアプローチを取ります。

    一般的に、企業選定に向けた意思決定は“多目的意思決定”として取り扱われます。具体的には、さまざまな複数の目的を同時に満足させる理想的な“パレート最適解群”とも言いますが、その最適解を意思決定者が何らかの判断で優劣付けを行い、最終的に自己にとっての選好解(最も良い解)を主観的に選択するという一連の過程で決まるものになります。

    ただこの分析は決して簡単なものではありません。

    例えば、よくある意思決定に係る項目の中から重視するものを選ぶ方法や、事例が書いてあって「次の項目の中から企業選定基準に最も影響する項目を一つ選んでください」という方法、さらには各項目の重視度を測定する尺度法のような通常調査があります。

    具体的な設問イメージだと、「次の企業選定基準に影響する項目それぞれについて、あなたはどの程度重視しますか?『非常に重視する』『やや重視する』など、最も当てはまるものを選択してください」といったようなアンケート調査がありますが、こういった通常調査では多目的意思決定の構造を明らかにすることができず、しっかり可視化するためには階層分析(AHP:(Analytic Hierarchy Process)という特殊な手法を用いる必要があります。

    階層分析はご覧いただいているようなイメージになります。今回はかなり、単純なものにさせていただいています。
    新卒の企業観を知るには
    企業選択の意思決定因子について例えば、「自社の金銭的メリット」と「自社の知名度の高さ」「自社の企業活動の実績」の 3 つを仮定いたします。通常、因子同士の重視度の関係は複雑になります。例えば、自社の金銭的メリットは、自社の知名度と比べると軽んじられるけれども、自社の企業実績と比べると重視されるというような形です。

    各決定因子は比べる項目別の組合せでそれぞれの項目の重視度評価が相対的に異なってきます。このような場合、従来のように単に2項目間の絶対評価で優先順位を聞くだけの通常調査では、対象者の暗黙的な意思決定や、複雑な過程の機微を可視化することができません。階層分析は、このような複雑な各項目間の相対的なトレードオフ関係の意思決定過程の機微を、統計学で正しく評価して可視化することができる特殊な手法です 。

    では分析をした結果について見ていきましょう。こちらが、企業選定基準に対する認識構造を可視化したものになっています。
    グラフ1:企業選定基準構造
    まずグラフ 1では、各プロット(グラフ上にたくさんある色の付いた丸)の位置において、縦軸(Y 軸)が優先度を表わす指数になっていて、高いところに位置している程、企業選択基準におけるトレードオフ上で優先順位の程度が相対的に高いということを示しています。補助線の上で隣り合うプロットが幾つも並んでいますが、このプロット同士の縦の間隔が広いほど、この項目間のトレードオフにおける優先度の格差が大きいことを示しています。
    グラフ1:企業選定基準構造(全体)
    全体ベースで現大学 3 年生(24 年卒)が、企業選択時で最優先する項目は、「自社の金銭的メリット(賞与や福利厚生を含める)」であることが分かります。次に「自社と自分との相性(社風や業種など)」、そして「自社の知名度の高さ」「自社の企業活動(将来性、成長率、規模など)」の実績が続き、「自社の商品やサービス開発における顧客との協創性」があり、最後に「自社の社会貢献活動(将来性や ESG、SRI含める)の実績」という順になっていることが分かります。

    青色で表示されたプロット「自社の知名度の高さ」と赤色の「自社の企業活動の実績」プロットの優先度の差が、距離が小さくなっていますので、両項目の優先順位差は相対的に小さい傾向が見られます。これは両項目が強く関連付けられて認識されている可能性を示唆しています。

    この優先順は、理系と文系、男性と女性で順番は変わりません。
    しかし項目ごとの優先度の構造、プロットの位置とプロット同士の間隔の違いはありますので、項目ごとに異なる傾向があるということを示しています。

    現大学 3 年生( 24 年卒)、理系/文系、男性/女性それぞれの企業選択時優先度分析

    ここからは理系/文系、男性/女性という形で、それぞれの傾向差について見ていきたいなと思います。
    グラフ1:企業選定基準構造(理系)
    まず理系では「自社の金銭的メリット」(水色のプロット)の優先度が、突出して高くなっているのがご覧いただけると思います。理由は、市場的に文系に比べて理系は相対的に給与が高い傾向を意識している為と考えられます。

    次いで「自社と自分との相性」(黄色のプロット)が続いていますが、自社の金銭的メリットの優先度差は大きく、全体と比較しても大きくなっています。

    3 番目に優先して考えているのが「自社の知名度の高さ」(青色のプロット)、それと「自社の企業活動の実績」(赤色のプロット)の2項目は非常に近似して並んでいます。「自社の企業活動の実績」は左横の全体と比較すると、相対的に優先順位が高い傾向にあることが見て取れます。

    また理系においては「自社の知名度の高さ」に対する優先度が、全体と比較して少し低くなっています。企業ブランド以上に給与最優先で仕事内容を重視する傾向がここから伝わってきます。

    文系も見ていきましょう。
    グラフ1:企業選定基準構造(文系)
    最優先項目は「自社の金銭的メリット」になっていますが、優先度が理系よりも低くなっているのが見てとれます。逆に第 2 優先項目の「自社と自分との相性」は、理系よりも優先度が高くなっています。

    結果、「自社の金銭的メリット」と「自社と自分との相性」の 2 項目間の優先度格差が小さくなっていることは文系の一つの特徴です。このことは、給与と自分と企業との相性見合いを重視する傾向を示唆しています。

    さらに「自社の知名度の高さ」に対する優先度が高くこれも特徴的です。文系は、自分との相性と企業ブランドを重視する傾向が見られると言えるでしょう。
    グラフ1:企業選定基準構造(男性)
    続きまして男性です。男性も「自社の金銭的メリット」の優先度が突出して高くなっています。最優先が「自社の金銭的メリット」で、第 2 優先項目が「自社の知名度の高さ」になっていて、しかも2項目の優先意識差が大きく開いています。

    さらに加えて第 2 優先項目と第 3 優先項目の「自社と自分との相性」がほぼ、同率に重なるような形で出ているのが特徴的です。

    特に男性は「自社と自分との相性」に対する優先順位が相対的に低い点も特徴的です。横の女性と比較した時に、黄色のプロットの位置が低く、「自社の金銭的メリット」が確保できれば、「自社と自分との相性」は多少優先順位を劣後させても、「自社の知名度の高さ」にこだわる給与と企業ブランド重視であるという傾向を表しております。
    グラフ1:企業選定基準構造(女性)
    女性は最優先項目が「自社の金銭的メリット」と第2位優先項目「自社と自分との相性」、また、第3位優先項目「自社の知名度の高さ」と第4位優先項目「自社の企業活動の実績」それぞれの2項目の優先度が 2 つずつセットになっている点が特徴です 。

    また、2 つのセットの距離が空いているのも特徴です。女性は自分らしく働き、金銭メリットを得るという実質領域を最優先しています。次いで、活動的で有名企業での就業という、自分の参加価値を優先する“優先領域の二分化傾向”が顕著であると言えます。

    現在大学 3 年生( 24 年卒)は、どのように意思決定をするのか?

    ここまで企業選択基準を見てきましたが、続いて現在の大学 3 年生(24 年卒)の企業選択基準を基にして、どのような態度で意思決定を行っていくのかを可視化したもの以下のグラフです。
    グラフ2:企業選択の意思決定構造(全体)
    このグラフの見方は先程のグラフ 1 と同じです。

    このグラフ 2 から分かることは、「企業選択の意思決定は一人ではしない」という基本構造が共通していることです。
    一方で理系/文系また、男性/女性で意思決定のトリガーの強さには差がありそうです。言い替えますと、企業選択の意思決定構造はターゲットとなる層全てで異なってくる可能性が高いと言えます。

    今回の分析から、意思決定には 2 つのトリガーが重要であることが分かりました。具体的には意思決定の過程のトリガーです。

    大事なことは、頼りになる他人の意見を受け入れながら決めるという、「意思決定の過程のトリガー」。 
    もう一つは、「何事も他者の助けがなければなしえない」という、「意思決定後の実行動に対する認識のトリガー」です。 2 つのトリガーが重要であることが分かりました。

    これらのトリガーは主に他者の影響下にあるものと言えます。または企業選択の意思決定は、周囲からの影響に大きく依存することを示しております。

    このことは内定辞退問題を含め最終的に自社への入社へと導く上で、学生のステークホルダー、すなわち両親や学生課、各人事系のメディア、また学生が熱心に見ているクチコミサイトなど、外部の情報や自社の情報発信などへの対策を、しっかり取るべきということが結果から示されたと言えます。

    では、それぞれ個別に見ていきたいと思います。
    グラフ2:企業選択の意思決定構造(理系)
    まず理系は「大事なことは、頼りになる他人の意見を受け入れながら決める」(水色のプロット)が一番上に来ています。それと「何事も他者の助けがなければなしえない」(黄色のプロット)がツートップになるような形で上に来ており突出して高い状態です。意思決定の過程や意思決定後の実行動の連動性の一致も強いということも言えるかと思います。

    一方で「自力で乗り越えられないものなどない」(青色のプロット)という意思決定後の実行動認識は全体より低くなっています。横軸で比較すると青色は低くなっています。

    企業選択の意思決定が周囲からの影響に大きく依存していることに加えて、最後には自力で何とか乗り切れるはずという自負意識が弱い。しかも、企業選択決定には他者からの影響を非常に強く受けているということがここから見て取れます。
    グラフ2:企業選択の意思決定構造(文系)
    続いて文系を見ていきますと、ツートップ項目は理系と同じですが、同じでも、「何事も他者の助けがなければなしえない」が一番、「大事なことは、頼りになる他人の意見を受け入れながら決める」が2位と、ツートップ項目順位が逆転していることが文系独自の傾向です。

    一方、この 2 項目の優先度は主に理系よりは下が低くなっていますよね。この 2 項目の優先意識差も小さくなっています。これらから言えることは、他者依存の傾向が理系以上に強固であるということです。
    グラフ2:企業選択の意思決定構造(男性)
    続いて男性は突出した意思決定のトリガーがないのが一番の特徴となっています。見ていただきたいのですが、この点線で囲んだ一番上の領域には、他の層では項目群が存在しています。しかし、男性ではこの同じ点線で囲んだ最も高いスコアの領域に何も当てはまる項目がありません。他の層に比べて突出したトリガーがないことを示唆している所以です。
    「大事なことは、頼りになる他人の意見を受け入れながら決める」「何事も他者の助けがなければなしえない」というのが、意識上の優先順位は低いながらもほぼ等しく重視されているというのが、この 2 つ目に点線で囲っているところを見ると分かります。一定程度、他者依存の強さが顕著であるということが言えるでしょう。

    一方で「自力で乗り越えられないものなどない」という意志決定後の実行動意識は相対的に高くなっています。また先程申し上げた 2 つの項目間の優先意識差は一定度ありますので、結果、他者依存傾向の対抗性はそこまで高くない、もしくは低いという風に見なされるかと思います。

    このことは、「他者からの情報を基に大事なことは全て自分一人で決める」という意思決定の過程をあまり経ず、自力で乗り越えられると思われる範疇の中で、意志決定後の実行動を取っていくという傾向を持っていることを示唆しています。言い替えれば「他者の情報をベースにして、自分の器の範囲の中に収まるであろう企業を決めていく」というのが男性の傾向と言えるでしょう。
    グラフ2:企業選択の意思決定構造(女性)
    女性は「大事なことは、頼りになる他人の意見を受け入れながら決める」「何事も他者の助けがなければなしえない」が共に突出して高く重なっています。2 つの項目が同じ程度優先されているのが特徴的な傾向と言えると思います。

    これは「他者の意見を基に自分の意思も決める」という非常に強い他者依存傾向を指しています。「自力で乗り越えられないものなどない」が、先程の 2 つの項目と格差が非常に大きくなっていますので、実質的に他人の情報に従って意思決定をするという「受け身的な企業選択態度の傾向が強い」ということがここから言えると思われます。

    現大学 3 年生( 24 年卒)の学生については学部系列別、また性別で意思決定の構造が異なっていることがお分かりいただけたかと思います。

    今回は経年で見ておりませんので、今の現大学 3 年生(24 年卒)の学生について説明をさせていただきましたが、ここから言えることは「ターゲット層の学生によって違いがある」ということです。
    そのため、しっかりと学部系列別、性別、あるいはターゲット層別にきめ細かく検討して見極めていくということが大事になります。

    加えて、企業選択の意思決定には、他者からの情報が非常に重要であることが明らかになりました。
    ゆえに採用においては、学生のステークホルダーは誰なのかをしっかり捉えた上で、そこに対して戦略的な情報発信を考えていく必要性があるということを意味しているかと思います。

    今回の結果については、世にあるアンケート調査と少し異なる印象を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。昨今、社会貢献活動実績―SDGsや ESGが学生の中に広まっていて、相対的に関連項目への関心が高くなるという調査結果がさまざまなメディアから公表されていますが、今回の結果はそうではありませんでした。
    比較的、現実的な回答が多く、不確実な世の中では金銭的メリットや自分たちが確実だと思うもの求める傾向が高まるという分析とかなり通ずる点があると思われます。

    各セグメントに分けて見てきましたが、採用候補学生をしっかりと客観的にプロファイリングを通して、理解、コミュニケーションしていくことが、一人ひとりの意向を高めていきます。
    また内定を出した後の辞退を防止し、自社への定着・活躍につなげていくことに関しても、やはり一人ひとりのプロファイリングを通した同様の取組が非常に大事になります。

    2.当社の内定辞退防止/早期接触者フォローへの取り組み


    ここから実際の取り組み事例も踏まえて、実践方法についてご紹介させていただきます。

    まず取り組み事例 1 です。
    取り組み事例(1)
    こちらはある大手化学メーカーの採用内定者をフォローする取り組みの事例です。

    内定辞退については今、多くの企業さんにとって上位に位置する課題になっています。
    この会社は創業 80 年以上の歴史を持つメーカーですが、昨今、内定辞退者が増加している状況がありました。さらには、内定承諾者よりも辞退者の方が適性検査で望ましい傾向がみられ、欲しい人財にことごとく逃げられてしまっているという課題感をお持ちでした。

    そこでまず、求職者の方に受けていただいている適性検査(eF社の適性検査eF-1Gを使用)を、面接官や内定者フォローする人事担当者、先輩社員に受検してもらいました。

    そのデータを基に、まずどこに課題箇所があるかを特定していくアプローチを取りました。
    当社の適性検査にある役割志向 8 タイプを基に分析した結果、採用面接官と内定辞退者が全く異なるタイプであったということが分かりました。

    面接官と応募者の相性が悪い為に、入社して欲しい人財の心をつかみきれていないのではないか。そのような仮説を置きまして、学生一人ひとりの特徴と面接官およびフォローする側の特徴の双方を押さえた上で、どのように学生に対してコミュニケーションしていけばいいのか研修を行って、動機付けの方法を学んでいただくということを行いました。

    加えて内定者の特徴に合わせて、個別にどのようなフォローを行うか具体化・実行するお手伝いさせていただきました。
    結果、内定辞退率を 13%改善することができました。

    数回の面談後に、入社に不安を感じている内定者、フォローが必要な対象者を客観的に予測・把握することは決して簡単なことではありません。

    仮に予測・把握できたとしても判断方法が属人的になりがちですし、更に暗黙知化しやすいため、組織として継続的に再現性を持って取り組める手法にはなかなかならない状況があります。

    一方で、昨今はテクノロジーがどんどん進化しておりますので、内定者のフォローアップについてAIなどを使って予測するという取り組みも始まっていますが、何かしらのデータを基に内定フォローアップ対象者を正確に予測できたとしても、対象者別の個別フォローアップを具体的な対応に落とし込んで、予測データと連動していかない限り、優秀な人財を引き留めるような取り組みにはなかなか至りません。

    今求められるのは、企業が欲しい人財、優秀な人財に対する個人データ分析です。
    一人ひとりをしっかりとつぶさに見ていきながら、一元的に導き出された具体的な防止策というものが必要になります。
    このような流出防止策を導き出していくには、個々人で微妙に異なる心理的な意思決定基準の機微というものを正確に捉えることができる、高感度な適性検査の仕組みが不可欠です。

    当社が提供させていただいている eF-1G という適性検査はまさに、そういったことを可能にします。
    内定者フォロー強化サービスの内容
    今回まず、今まで面談で判断しにくい個人の辞退意向の心理的決定要因を、データから可視化するステップ(ステップ 1)を踏みました。
    続いて、内定者フォローアップ対象者の辞退意向に影響する意思決定構造を行動心理学的手法から解明するステップ 2に進みました。

    またeF-1G から、対象の辞退意思決定を個別に特定して、防止に有効なアプローチ方針をデータ分析から具体的に導き出すことがステップ 3となります。
    最後にアプローチ方針に従って、内定フォローアップ対象者の意思決定要因に影響するような、各企業に適したピンポイント対策案を具体化・設定する(ステップ 4)という流れで支援させていただいています。

    ここまでで、eF-1G が内定者フォローアップ対象者の性格上のブラックボックスを可視化できるということをイメージしていただけたかもしれません。

    ここからはより具体的に、eF-1G による内定フォローアップ対象者の抽出方法と、そこから辞退意思決定の構造をどのように把握できるのかご紹介いたします。

    高精度なeF-1G を活用したタイプ分析・分類とそれぞれへの対応

    内定フォローアップ対象者の選別モデルはまず高感度な性格診断情報が前提になりますが、それを eF-1G は可能にします。
    内定フォローアップ対象者の選別モデル(プロファイル分析)
    辞退理由は個人の性格の影響を受けるデリケートなものですので、高度な精度が求められます。
    中途半端なものを使うとそれこそ問題や見誤りに発展しかねませんので、精度は非常に重要だと考えています。
    eF-1G を活用することで、内定フォローアップ対象者の選別モデルから、具体的・数理的に導き出していくことができるようになっております。
    4大内定辞退意思決定因子分析
    これは内定辞退意思決定因子項目を整理したものですが、4 つの心理的因子が辞退意向の意思決定に複合的に影響し合っているということが、弊社の統計学的分析から判明しています。
    その一つが「自己形成を支える経験の豊かさ」「メンタルケア力」「リレーション構築力」「業務能力のポテンシャル」という観点です。

    これらの 4 因子は、さらに具体的な詳細項目へと体系的に掘り下げていくことができます。私どもの役割志向 8 タイプのうち「CL8」というサルタイプを例に説明させていただきます。
    タイプ別の性格別内定辞退因子(CL8タイプ:サルの場合)
    サルタイプは、eF-1G の性格診断の役割志向 8 タイプの中で「周りをサポート」するといった特徴を持つ人になります。
    私も実はこのサルタイプに該当しています。管理部門など支える側にこのタイプが多いかもしれません。このように内定フォローアップ対象者の性格に顕著な特徴がみられない場合、役割志向 8 タイプを特定できますと、その性格傾向に沿って分析を深めたり、ピンポイントな個人理解が可能になります。
    実はこのサルタイプの特性を反映した内定辞退に関係する 4 大内定辞退意思決定因子構造は、一般と比べると異なる特徴があります。

    まず、サルタイプは「能力特性」(A)と「基礎的な信頼作り」(E)が一般よりも高くなっています。
    一方、「ビジネスポテンシャル」(C) と、「エモーショナル特性」(I)が低くなっています。
    このことから、サルタイプは一般に比べて周囲に好印象を与えやすいが、内実は異なるということを示しています。言い替えれば、外見から感じた印象で対応し方向性を間違えてしまう、逆にフォローしたつもりがネガティブな印象を与えてしまう危険が高く対応に注意が必要なタイプだと言えます。

    これはあくまでサルタイプの傾向で、他の 7 つの役割志向タイプでもそれぞれ固有の 4 大内定辞退決定因子構造が認められています。
    ここから言えることは、内定者フォローアップは一律に行うことは適切ではなくて、各タイプに応じた、あるいは一人ひとりに応じた内定者への対応が必要であるということだと考えております。

    サルタイプの 4 大内定フォロー対象者の特徴因子構造は他のタイプと多くの点で異なっていますが、さらにブレイクダウンすることでより正確に違いを捉えていくことができます。
    各因子のブレークダウン構造(CL8タイプ:サルの場合)
    例えば、基本的な関係作りの因子に与える影響は一般よりも高い割合を示しています。
    その内訳は、誠実性36.4%、寛容性 31.2%と、 2 つの要因のみで大体 68%占めていますが、ネガティブ性向で占められているということが分かります。
    さらに基本的な関係作りの因子は、総じてネガティブ要因しかない状況でして、このサルタイプにおいてはフォローアップ時の信頼関係作りの難しさがあることを示しています。

    本来このサルタイプは、仲間との和を築くことに長けた性格です。
    ただひとたび内定承諾後に二の足を踏むと、表面的な演出の上手さから協調的、社交的なイメージを保ちつつも、静かに心の扉を閉じてしまう。そして企業の皆さんと心理的距離を取ってしまう、警戒感を強めていく傾向が示唆されています。

    このデータは、それら前提を理解しないまま外見上の人当たりのよさをそのまま鵜呑みにして対応してしまうと、相手方からブロックされてしまう危険性を示しています。
    もちろん、この傾向はグルーピングしたタイプの基本的特徴に過ぎませんので、同じサルタイプでも波形は違うこともあります。
    故に一人ひとりしっかりと見ていくことが重要になります。このような形で特徴を捉えていきますと、内定辞退因子を踏まえて性格別にどのようなアプローチをしていくべきか整備していくことが可能になります。

    内定辞退防止と入社後の配属に対する納得感を高める研修プログラム

    ここでは内定フォロー対策でご説明しましたが、同じような取り組みを今夏のインターンシップでフォローした人財の中で、本選考に向けて意向を上げていきたい学生に適用することもできます。
    対象者に後付けで適性検査等を受けもらって、どういうタイプなのかを確認し、適切にフォローアップをしていくことができます。
    また早期の接触者フォローに対しても活用できる内容になっています。

    2 つ目の事例は、内定辞退防止及び入社後の配属に対する納得感を高めたいという課題をお持ちだった某金融企業の取り組み事例です。
    当社では、内定辞退防止や入社後の配属に対する納得感を醸成するには要素が5つあると思っています。
    取り組み事例(2)
    その5要素を網羅する研修プログラムを、適性検査の提供も含めてご提案させていただいたという内容です。
    研修プログラムは、パート1から5まで設計させていただいていますが、1~2までのパートは当社で講師を派遣し支援させていただいております。

    あくまで参考ですが、当社が考える内定辞退が生じる構造は次のように整理できます。
    内定辞退が生じる構造とは?
    最終的なアウトプットとして内定辞退がありますが、インプットはモチベーションと不安感、違和感とのバランスであると考えています。この不安感、違和感を下げていくにはどうすればいいか。
    それに対するインプットとして、 自分自身と一緒に働く仲間、自分自身と仕事の内容、自分自身と会社の方向性という3 つとの繋がりをしっかりと強めていくことが重要であると考えています。

    繋がりを強める方法はいろいろあると思いますが、当社の研修では自己理解を深めることにより、心理的受容度を高めていくアプローチと合わせて、仲間や仕事、会社への理解を理論的に深めていく2側面から行うことを重視しています。
    さらに自己理解と企業について仲間、仕事、会社についての理解を掛け合わせていくことが必要になるため、それらを深めるプログラムの中で適性検査を触媒として用いています。
    内定者フォロー研修
    こちらは研修で用いるツールや演習プログラムの一部を抜粋したものです。
    内定者や早期接触者の方々には、自己理解を深めていただける読みやすいパーソナリティ診断のフィードバックシート資料をお戻しさせていただいております。
    企業にも学生がどんな人財なのか分かるシートを出力してお渡しさせて頂きますので、学生自身も自分のことが分かるし、 企業も内定者や早期接触者の一人ひとりの特性を捉えることができると思います。

    研修は単に適性検査の結果の解説に終始せず、他の内定者と適性検査結果を用いて自己紹介をしたり、他のタイプになりきりながらロールプレイングを行っていただくことで、他者理解だけではなく、彼我の差、自己客観視を促し、さらに自己理解を深めるという設計にしています。

    以上、本日は内定辞退防止、内定者フォローの取り組み事例と当社の支援内容についてご紹介をさせていただきました。
    もう内定式が終わるタイミングだと思われますが、ここから入社までは半年あります。どこかのタイミングで当社プログラムや適性検査を受けてもらい、学生自身が自分自身の理解を深める、また企業が学生に対する理解を深めて適切なフォローをするお手伝いがまだ時期的にも可能です。
    内定辞退防止/早期接触者フォローのソリューションマップ
    ご覧いただいているのは、特定の対象に対してのフォローを強化したい、さらにはコストをかけてでも何とかしという場合は、最初にご紹介させていただいた一人ひとりのプロファイルを分析しフォローを行う「フォロー強化サービス」が良いかと思います。
    また特定の対象ではなくて、広く全体に対してフォローしていく場合については研修もございます。

    あるいは、内定者向けのフィードバックシートをお渡しして、企業側もそれを見ながら適切にフォローしていくといった目的、用途、あるいは費用感に合わせて適切なソリューションのご提案をさせていただいておりますので、個別に課題感をお持ちでしたらご相談いただければと思います。
    内定辞退防止に有効な適性検査の要件とは?
    適性検査はその種類が多く出てきていますが、内定辞退防止や選考過程における動機形成で活用しているケースは全体 3 割にも満たないという実態があります。つまり有効な手段であるものの、スキルをうまく使いこなせている企業はまだ多くはないということであり、活用することで他社との差別化を図っていくことができると思います。

    その上で「自社への適性が分かる」「恣意性が見抜ける」「動機形成にも活用できる」という特性や、また機能として網羅的に幅広く正確な対象選定ができる点も有用だと考えています。
    実績も含めて高い精度が出せ、かつ、しっかりと分析でき、具体的な施策につなげることが一気通貫でできるか否かを、適性検査の採用基準にしていただければ良いかと思います。

    その点で申し上げますと、当社が提供させていただいている eF-1G は測定できる範囲や分析だけではなくて、施策のご提案も含めてお手伝いさせていただいており、実績は20 年以上になり自信を持ってご案内できます。
    人財マネジメントの各領域それぞれの課題解決策にもなり得ますし、それぞれに合ったシート、レポートの分析もご提供させていただいています。

    内定した学生に辞退されずに入社までつなげていく課題解決のご相談や、採用が厳しくなるなかで少しでも早く退職の予兆を捉えて対処したいというご相談も多くいただいております。
    まず幅広くディスカッションさせていただければ、お役に立てるのではないかと思っております。

    これからも当社独自の調査をもとに情報提供や、取り組み事例の紹介をしていきたいと思っています。今後もウェビナーへのご参加をぜひ検討いただけますと幸いです。
    本日はありがとうございました。

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    著者:株式会社イー・ファルコン
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