ジェンダー平等でOECD最下位の日本 北欧を始めとした上位の国からなにを学べる?

    ことし3月に世界銀行が、国・地域別に男女同権が法的にどの程度進んでいるかを示した2022年の「女性・ビジネス・法律」指数を発表しました。

    それによると、日本はOECD加盟38か国で最下位にとどまっています。

    また、世界経済フォーラムから毎年公表されている「ジェンダーギャップ指数」においても、日本は147か国中115位と低い順位にとどまっています。

    ジェンダー完全平等に近い国と日本では一体何が違うのでしょうか。
    女性の働き方を中心にみていきましょう。

    「ビジネス・法律」「ジェンダーギャップ指数」ランキング


    世界銀行の「女性・ビジネス・法律」指数では、上位は以下のようになっています。
    指数で「100」と満点になっている国は、

    ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイスランド、アイルランド、ラトビア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン

    一方、日本の指数は78.8で、アゼルバイジャン、コンゴ、フィリピン、タジキスタンと同じポイントです*1。

    また、世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダーギャップ指数」は、経済・政治・教育・健康の4つの指標から男女の平等性をはかるもので、「0」が完全不平等、「1」が平等として算出されています。
    2022年の順位は下のようになっています(図1)。
    図1 ジェンダーギャップ指数上位国及び主な国の順位
    (出所:「共同参画 2022年8月号」内閣府)
    https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2022/202208/pdf/202208.pdf p11


    北欧の国が上位にきています。

    トップのアイスランドと日本を各指標で比較すると、下のようになります(図2)。
    図2 アイスランドと日本のジェンダーギャップ比較
    (出所:「世界経済フォーラムが『ジェンダー・ギャップ指数2022』を公表」内閣府)
    https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2022/202208/202208_07.html


    女性の政治参画の低さが全体の指数を大幅に押し下げていることがわかりますが、経済参画でもトップのアイスランドとの間に差がついています。

    アイスランドのジェンダー政策


    アイスランドの女性の働き方や女性の組織内での地位は、法律や制度によって守られています(図3)。
    図3 アイスランドの女性参画と制度
    (出所:「共同参画 2020年1月号」内閣府)
    https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202001/pdf/202001.pdf p5


    組織内での女性の立場、男性の育児休業、賃金差についてそれぞれ対策が取られているのです。

    ジェンダークオータ制による改革

    まず、アイスランドで導入されている「ジェンダークオータ制(クオータ制)」についてみていきましょう。

    これは、4名以上で構成される上場企業の取締役会や公共の委員会は、メンバーの40%以上を女性とすることが定められているというものです。

    企業役員にクオータ制を世界で初めて導入したのはノルウェーで、2003年に法律が制定されました。まず2005年7月1日までに国営企業の取締役の女性比率を40%にするという目標を設定、2005年からは上場企業にも適用されました。2007年末までに40%を達成できない企業にはペナルティを設けるという厳しいものでもあります。

    しかしその結果、2008年にはすべての上場企業で、全体として女性役員比率40%が達成され、2021年には41.5%となっています*2。

    アイスランドもこれを導入しています。フランス、ドイツ、アメリカなどでもクオータ制が導入されており*3、その結果、導入国では企業役員に占める女性の比率が高くなっています(図4)。
    図4 企業役員に占める女性比率の推移
    (出所:「共同参画 2022年6月号」内閣府)
    https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2022/202206/pdf/202206.pdf p2


    なかでもフランスでは、女性の役員比率が45%を超えるという高い水準を達成しています。

    育児休暇の制度設計


    そして、注目すべきは男性の育児休暇の取得率です。

    日本でも近年は、男性の育児休暇取得率は向上してきました(図5)。
    図5 男性の育児休業取得率
    (出所:「育児・介護休業法の改正について」厚生労働省)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf p5


    とはいえ、女性の取得率が85.1%であることを考えれば*4、非常に低い水準といえます。

    一方、アイスランドの男性の育児休暇取得率は74%となっています*5。
    これは2020年に紹介された数字ですので、その後上昇している可能性も考えられるでしょう。

    アイスランドの男性の育児休暇取得率の高さは、その制度設計にカギがあります。

    アイスランドでは、女性だけが育児休暇を取得する場合、その限度は6か月です。
    しかし、女性と男性が3か月ずつ育児休暇を取得した場合には、追加で3か月の育児休暇が与えられます。この追加分はどちらが取得しても構いません*6。

    夫婦両方で育児休暇を取ることで大きなインセンティブが生じるのです。

    男性の育児休暇取得について日本でも法改正へ


    さて、男性の育児休暇取得については、2023年4月1日から新しい制度が始まります。

    1000人以上の常用労働者がいる企業について、育児休業などの取得状況を年に1回公表することが義務付けられます。

    こうした中で、義務化以前に男性の育児休暇取得率を積極的に開示している企業例があります*7。

    大成建設は2016年に公表を始め、その結果、2017年度以降に子供が生まれた男性の育児休暇取得率は100%を達成しています。それだけでなく、新卒の採用活動に良い影響をもたらしたといいます。

    また、義務化の対象でなくとも男性の育児休暇取得率を公表している屋根用金具製造のサカタ製作所(新潟県・従業員約150人)も育児休暇取得率を公表した結果、20代、30代前半の男性の人材確保につながっている、と分析しています。

    男女平等、特に育休取得の状況については、内外へのアピールにもなる時代なのです。
    もちろん、子供は両性どちらかのものというわけではない、という当然の前提に立ち返る必要もあります。

    出産や育児によって女性のみがハンデを背負う状況は、世界的に見れば「時代遅れ」なものと映ることでしょう。

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    著者:清水 沙矢香
    2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。
    取材経験や各種統計の分析を元に多数メディアに寄稿中。

    *1
    「WOMEN, BUSINESS AND THE LAW 2023」世界銀行
    https://openknowledge.worldbank.org/server/api/core/bitstreams/105265e8-311a-4b39-a71b-e455a86dd0ba/content p16

    *2、3
    「共同参画 2022年6月号」内閣府
    https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2022/202206/pdf/202206.pdf p2.p3

    *4
    「育児・介護休業法の改正について」厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf p5

    *5
    「共同参画 2020年1月号」
    https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2019/202001/pdf/202001.pdf p5

    *6
    「特集 世界でもっとも男女平等な国(1)父親の育休取得率7割!」NHKハートネット
    https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/158/ 

    *7
    「男性育休率を積極開示 積水ハウスや日生、義務化に先行」日本経済新聞
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1653X0W3A210C2000000/