面接官の研修は必要?面接官研修の目的や効果と面接官研修の実施方法
採用面接は、候補者を見極める最も重要なプロセスです。
どの企業も優秀な人材や長く働いてくれる人材を見極めたいと思って臨むものですが、面接官ごとの質問内容や評価基準にばらつきがあると、採用ミスマッチや候補者体験(採用CX)の低下を招き、早期退職や選考辞退につながる恐れがあります。
そのためさまざまな企業が、面接官のスキル向上や評価基準の統一を図る「面接官研修」を実施しています。
これから面接官研修を導入したいと考えている方に向けて、面接官研修の目的や効果、具体的な面接官研修の実施方法について解説します。
面接官研修とは
面接官研修とは、採用活動に関わる面接官が、候補者を適切かつ公平に評価するために必要な知識やスキルを学ぶ研修です。
面接官として新任かベテランか、また採用がメインの業務であるかに関わらず、採用面接に関わる人物が対象となります。
面接官研修で学ぶ内容は、実施する企業や研修を提供するサービスによってさまざまですが、面接官に求められる役割や必要な心構えなどの「業務の基本」、ハラスメント防止や労働法規などの「コンプライアンス・法務知識」、傾聴姿勢や候補者から本音を引き出す質問の仕方などの「面接の基本スキル」、性別・年齢・学歴などによる無意識の偏見をなくす「アンコンシャスバイアスの理解」などが主な内容となるでしょう。
これらをロールプレイやケーススタディを通じて実践的に学ぶことで、面接官全員のスキルと判断基準を統一し、採用の質を高めるのが面接官研修の目的です。
面接官の研修が必要な理由
面接官の研修が必要な理由には、労働人口の減少や採用コストの削減などにより、採用ミスマッチの防止や選考辞退の防止の重要性が高まっていることが挙げられます。
また、近年ではSNSなどで企業の評判に関わる情報が発信されることが増えているため、企業の代表として候補者に接する面接官は、法令遵守やハラスメント防止、候補者体験(CX)の低下による企業ブランドへの影響の防止について理解しておく必要があります。
こうした「採用の失敗を防ぐ」ためだけでなく、アンコンシャスバイアスの理解により優秀な候補者を見逃さないこと、候補者体験を改善して候補者の志望度を上げることで「採用の成功率を高める」ことも、面接官研修が必要な理由です。
面接官研修の目的
面接官研修の目的は実施する企業によってさまざまですが、どのようなものなのでしょうか。
面接官研修の目的について確認していきましょう。
採用判断の精度向上
面接は候補者のスキルや適性を見極める重要な場ですが、評価基準が曖昧だったり、面接官ごとに判断が異なったりすると、優秀な人材を見逃すリスクが高くなります。
このリスクを減らすために、採用判断の精度を向上することは、面接官研修の重要な目的です。
面接官研修で評価項目を明確化し、事例ごとの質問手法や評価の仕方を具体的に学ぶことで、面接の質を向上させ、優秀な人材の見逃しや入社後のミスマッチを防止できます。
面接プロセスの公平性・透明性の確保
人はだれでも無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)を持っているものですが、面接で性別・年齢・学歴などによる偏った評価を下してしまうと、面接プロセスの公平性を欠くことになってしまいます。
研修を通じて面接官それぞれバイアスを認識し、構造化面接などの手法を導入することで、候補者を平等に評価できるようになります。
また、適性検査を導入し、検査結果の評価の仕方を面接官研修に取り入れることで、プロセスの透明性を高めることができます。
面接の透明性を確保することは、候補者体験の向上にもつながり、企業ブランドの信頼性を高める効果も期待できるでしょう。
面接官のスキルアップと自己理解の促進
面接官研修は、面接官の面接スキルの向上にとどまらず、自己理解を深める機会にもなります。
面接官が自身の評価傾向や判断の癖、アンコンシャスバイアスを知ることは、公平な採用判断を可能にするだけでなく、日常のマネジメントや部下育成にも良い影響を与えます。
研修を通じて面接官自身の成長を促すことは、採用の質の向上、ひいては組織全体の採用力向上にもつながるため、長く活躍できる人材を見極め、優秀な人材から選ばれる組織になるためには、面接官研修は不可欠なものと言えるでしょう。
面接官の研修により得られる効果
面接官研修を行うことで、採用の精度や候補者の満足度が高まり、企業全体の採用力強化につながります。
面接官研修の主な効果について確認していきましょう。
採用ミスマッチの減少
面接官研修によって、評価基準の明確化や質問方法の習得が進むと、面接官の感覚や主観に頼らない選考が可能になります。
これにより、企業が求める人物像と候補者のスキル・価値観との整合性が高まることで、採用ミスマッチのリスクを大きく減らせるでしょう。
面接官のスキル・評価基準の均質化
研修を通じて面接官が共通の評価基準を持ち、質問の仕方や面接の進行手順を標準化することで、だれが面接しても一定の採用の質を担保できるようになります。
面接官のスキル・評価基準の均質化が実現できれば、採用の透明性や客観性が高まり、候補者からの信頼獲得にもつながります。
候補者体験(採用CX)の向上
候補者体験(採用CX)は、応募から選考、内定に至るまでの採用プロセスにおいて、候補者が感じる印象や満足度を指します。
近年はSNSや口コミを通じて企業イメージが広がるため、候補者体験が採用力やブランドに直結するほか、体験が悪ければ優秀な人材の辞退や評判の低下につながるリスクもあります。
面接官研修では、候補者に敬意を持って接し、適切な質問やフィードバックを行う姿勢を学べるため、候補者体験の向上を図ることができ、採用成功率の向上にもつながります。
組織文化・価値観の浸透
面接官研修は、面接官が改めて自社の組織文化や価値観を理解したり、その文化・価値観に合致する人材を見極めるにはどうすればよいかを学んだりする場にもなります。
面接の場は、企業の文化や価値観を候補者に伝える絶好の機会となるため、自社のビジョンや求める人材像を面接官が一貫して候補者に発信できるようになれば、入社後のミスマッチ防止につながります。
候補者は採用過程を通じて企業の文化を理解しやすくなり、共感した上で入社することになるため、定着率やエンゲージメントの向上も期待できます。
組織全体の採用力向上
面接官研修は、面接官それぞれのスキルを向上するだけでなく、組織全体の採用力を高める効果もあります。
研修を通じて面接官同士の共通言語が形成されることで、採用部門と現場部門の連携が円滑にできるようになり、組織全体で人材獲得に取り組む体制が整うでしょう。
面接官研修の具体的な実施方法
面接官研修を実施するには、具体的にどのような準備や対応を行えばよいのでしょうか。
面接官研修の具体的な実施方法をステップごとに整理して解説します。
研修の目的を明確にする
まずはじめに、面接官研修の目的を明確にしましょう。
目的が採用判断の精度向上なのか、面接官スキルの均質化なのか、候補者体験の向上なのかによって、研修の内容は変わります。
目的が複数あるのは悪いことではありませんが、研修ために確保できる時間には限りがあるため、どれを一番優先にするかを決めておくとよいでしょう。
研修対象者を決める
面接官研修の対象者を決め、対象にあわせて研修内容や深さを調整することも重要です。
初めて候補者を面接する新任面接官と、中堅の面接官や管理職では、学ぶべき内容が異なります。
複数の対象に同時に研修を実施したい場合は、評価基準の統一やコンプライアンスについては全員を対象に行い、模擬面接やスキル習得に関する部分はレベルごとに分けて実施するなど、どの対象にとっても有意義な研修となるよう工夫しましょう。
研修の形式を決める
主な研修の形式には、集合研修、オンライン研修、OJT(実務研修)の3つが挙げられます。
講師による座学や直接指導、グループ演習などには集合研修が適していますが、場所や日程の調整が必要になります。
対象者の状況や研修の内容にあわせて、遠隔で参加できるオンライン研修や、実際の面接の場で学ぶOJTを組み合わせるとよいでしょう。
研修カリキュラムの設定と実施
研修カリキュラムは、研修の目的や対象者にあわせて企業が独自に設定する方法のほか、面接官向けの研修を提供しているサービスから適したものを選ぶ方法があります。
研修の目的や対象によって内容はさまざまですが、一般的なカリキュラムの例として次のようなものが挙げられます。
- オリエンテーション(目的とゴールの説明)
 - 面接の基本スキル(話の聞き方、質問の仕方、傾聴)
 - 評価基準の理解と統一(評価基準の設定・確認と評価方法の共有)
 - アンコンシャスバイアスの理解
 - コンプライアンス・法務知識
 - 模擬面接(スキルの実践、フィードバック)
 - 振り返り
 
座学だけでなく模擬面接も組み合わせたり、ケーススタディで評価のブレを可視化したりすることで、理解度を高める工夫が大切です。
研修後のフォローアップ
面接官研修の効果を持続させるためには、研修後に実施した実際の面接の録画や評価表を確認してフィードバックしたり、面接官同士でよかった事例や改善事例などを共有したりして、スキルのアップデートを継続していくことが重要です。
また、面接官研修を定期的に開催し内容をアップデートしていくことで、面接スキルや評価基準も更新を繰り返していくとよいでしょう。
採用の精度向上を目指す面接官研修には適性検査の導入も有効
面接官研修の第一の目的を採用精度の向上としている場合や、すでに導入している面接官研修や評価基準だけでは採用精度を十分に高められていないと感じている場合には、適性検査の導入が有効です。
面接官に適性検査を実施することで、「論理的に評価する傾向が強い」「第一印象に影響を受けやすい」などの特性や考え方の傾向を知ることができ、バイアスを防ぐことに役立ちます。
また、採用プロセスに適性検査を導入することで、評価基準の統一や具体化が可能になり、効果的な質問設計ができます。
面接官研修では、候補者の個性を理解するための研修や、候補者のタイプに応じた心を掴むためのトークの練習などを学ぶことで、採用精度の向上と選考辞退の防止などに活かせるでしょう。
面接官研修の効果を高めたい、さらに採用精度を向上させたい場合には、面接官研修とあわせて適性検査の導入も検討してみるとよいでしょう。
面接官研修で採用精度を高めるならeF-1G
面接官研修を通じて、面接官のスキルやコミュニケーション力が高まることで、採用の精度や候補者体験の向上が期待できます。
しかし、面接での評価だけに依存すると、面接官の主観や一時的な印象に左右されるリスクは残るため、公平な評価や優秀な人材の見極めをより強化したい場合には、適性検査の導入がおすすめです。
適性検査の客観的なデータを用いて面接することで、候補者の能力や性格を多角的に把握でき、採用判断を補強できます。
一人ひとりの個性を細やかにとらえることができる適性検査「eF-1G」なら、面接官の思考タイプや候補者の適性を細かい粒度で測定することが可能で、シーンに合わせたレポートでさまざまな活用ができます。
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