新入社員の「リアリティショック」を自律に変えるアプローチ
新しい仲間を迎え入れる今の時期、多くの企業が直面するのが新入社員の「早期離職」や「メンタル不調」という課題です。これらは、入社前に描いていたイメージと現場の現実にギャップを感じる「リアリティショック」が大きな要因の一つとされています。
この課題について、先日インタビューをさせていただいた伊藤忠食品様の事例が、まさに今の時期に参考になる秀逸な内容でした。140年の歴史を持つ同社が、どのようにして新入社員の「自律」を促しているのか。その実践的なヒントを共有させていただきます。
伊藤忠食品様の詳しい活用事例はこちら
https://www.e-falcon.co.jp/ef-1g/case/isc
新卒時代に誰もが直面する「理想と現実のギャップ」
多くの社会人が経験するように、入社前に思い描いていた仕事のイメージと、現場での現実との間には少なからずギャップが存在します。
学術的にも、新入社員のほぼ全員が入社後数ヶ月で「リアリティショック」に直面するとされています。これは入社前に知り得た情報と、入社後に直面した実態との間に生じる乖離が引き金となるもので、早期離職にもつながりかねない深刻な事象です。
これを防ぐための代表的な手法が、選考過程から仕事の厳しい側面も“ありのまま”伝える「RJP(RealisticJobPreview:現実的な仕事の事前提示)理論」です。
■RJP(現実的な仕事の事前提示)がなぜ必要なのか
採用時にネガティブな情報も包み隠さず伝えることで、入社後の「こんなはずじゃなかった」というギャップを最小化し、定着率を高める効果があります。
■情報提供だけでは「ショック」は消えない
しかし、RJPによって情報のギャップを埋めることは重要ですが、それだけで全てのショックを防ぐことは不可能です。たとえ事前に厳しい現実を聞いていたとしても、実際に現場で壁にぶつかった瞬間の心理的な負荷は別物だからです。特に現代は変化が激しく、会社側が現場のすべてを予見して伝えることは困難です。
事前の情報提供(RJP)でギャップを減らしつつも、「起きてしまったストレスに対して、自分自身でどう適応し、行動を制御するか」という個人の対処能力(コーピング)をセットで高める必要があるのです。
今回ご紹介する伊藤忠食品様の取り組みが秀逸なのは、適性検査eF-1Gで取得したパーソナリティデータを、単なる配属検討に使うだけでなく、「ストレスへの具体的な向き合い方」を学ぶための指針として研修に組み込んでいる点にあります。
配属前の「ストレスマネジメント研修」において、受講者本人が自身の特性を客観視し、「自分はどのような場面でストレスを感じやすく、どう対処すべきか」という自己理解のデータとして活用することで、現場で壁にぶつかった際にも自律的に動ける状態を整えているのです。
変化への耐性を養う「配属直前」のストレスマネジメント
この研修の目的は、自身の特徴を知って、社会人として経験する様々なストレスへの対応方法を学ぶことにあります。
適性検査で捉えられる自身のストレス源を理解することで、自律的にセルフマネジメントができる素養が養われ、配属という大きな環境変化への心構えを醸成することにつながっています。
「自己決定」を促し、心理的な余裕を生み出す仕組み
心理学の「自己決定理論(SDT)」では、人は「自分の行動を自分で選択している」と感じるときに最も高いパフォーマンスを発揮するとされています。
適性検査の結果をもとに、「なぜか辛い」という不可解な状態を、「自分のこの特性が反応しているんだな」という理解可能な状態、つまり自身でコントロールできる状態に変えることが、自律性を刺激し、心理的な余裕を生み出すのです。
依存的な「ケア」から、自律を促す「エンパワーメント」へ
新入社員が定着するよう手厚くケアすることも大事ですが、それがかえって社員の自律性を損なっているかもしれません。
変化が激しい時代において「自律した組織」を作りたいと願うならば、まずは社員一人ひとりに「自身の特性を活かし、環境に適応するための指針」を手渡すことから始めてみてはいかがでしょうか。
伊藤忠食品様の詳しい活用事例はこちら
https://www.e-falcon.co.jp/ef-1g/case/isc
イー・ファルコンは25周年を迎え、「ポテンシャルディスカバリー」という新コンセプトのもと、一人ひとりの可能性を広げ、企業の価値創造につなげるお手伝いをしております。人・組織に関するお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
代表取締役 田中 伸明
一般社団法人 人的資本経営推進協会 理事
ISO30414リードコンサルタント/アセッサー
